アイドリングストップ
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アイドリングストップとはエンジンを搭載した自動車、オートバイにおいて、停車中のアイドリングを停止することで燃料消費・排ガス出力を抑えることを意味する和製英語。英語として解釈すると「アイドリングしながらの停車」という正反対の意味になる。アイドルストップとも。
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[編集] 概要
近年の環境問題への意識の高まりや自動車排出ガス規制を受けて、アイドリングストップを自動的に行う機構を採用した車種が増えている。手動でアイドリングストップを行う人は少ないため、単にアイドリングストップと言った際には、この自動的な機構を指すことが多い。
一説には
と言われている。
[編集] 自動アイドリングストップ機構の概要
- 停車を検知してエンジンを停止。
- 発進動作を検知してエンジンを再始動。
- エアコンの使用中など、エンジンに負荷がかかっているときは停止させない。
メーカーや車種により動作基準は異なるが、概ね以上のような動作を行う。エンジンを再始動させる際は(通常のエンジン始動と同様に)モーターを用いる。2005年にマツダがモーターを用いることなく、エンジンの筒内点火のみで再始動する「スマートアイドリングストップシステム」という技術を開発したことを発表している。
[編集] アイドリングストップの奨励
ドゥカティ社や、ヤマハ発動機社では、大型自動二輪車クラスのオートバイでアイドリングストップを奨励している。理由としては燃費の向上のほか、アイドリングを長時間続けるとエンジンがオーバーヒートしてしまう為としている。ドゥカティ社の一部のモデルはサイドスタンドを立てただけでエンジンが停止する様に設計されておりアイドリングをなるべくさせない様になっている。川崎重工業社製のスーパースポーツモデル・レーサーレプリカモデルでは、指定された時間以上のアイドリングはエンジンを損傷するので厳禁する旨マニュアルに記載しているものがある(カワサキ・ZX12Rなどはアイドリングを長時間続けるとエンジンの熱がシート下のタンクに伝わり、熱くて座っていられなくなる事がある)。
[編集] 手動アイドリングストップへの批判
アイドリングストップのうち手動で行うものに対しては、次のような批判もある。
- 発進に手間取り渋滞の原因となる。渋滞中の自動車は燃費が悪いのでアイドリングストップの環境効果が相殺されてしまう。
- 発進に関してはドライバーが発進時の間合いを習得することでカバーできるとされるが、青信号を確認してから発進動作を行う場合、アイドリングストップをしない場合より早くなるとは考えにくい
- スターターモーターは通常の使用状態では十分な耐久性があるが、アイドリングストップで酷使すると故障する恐れがある。
- 励行している旅客業者の中には、年に一度の点検で部品交換を行う企業もある
- バッテリー容量の低い車両は、スターターを酷使するとバッテリーの早期劣化を及ぼし、結果的に発進が困難となる恐れもある。
- 自動アイドリングストップ機構を装備している車は、バッテリーの容量などを強化させている
これらにより故障する事態が発生した場合、ほとんどの車(近年発売されたマニュアル車を含む「押しがけ」のできない車)では再始動が困難となり、救護車が到着するまで立ち往生し、大規模な渋滞を招く。これによりそれまでの環境効果が相殺されてしまう。