アジュバント
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アジュバント (Adjuvant) とは、薬物の作用を修飾(増強)するために加えられる試薬のこと。ラテン語の adjuvare(助ける)に由来する。
[編集] 免疫学におけるアジュバント
アジュバントは、抗原(ワクチン)の免疫原性を高める目的で抗原と共に生体に投与される試薬のことである。免疫賦活剤、あるいは免疫増強剤の一種とも考えられる。 作用機構は様々で不明なものも多いが、抗原の投与局所への貯留性を高めるエマルジョンや沈降物を形成するものが多く、それらは抗原と免疫細胞が接触する機会を増やすことで、免疫増強作用を発揮する。代表的なものとして、フロイントアジュバント(Freund' adjuvant)やアラム(Alum)などがある。
臨床的には花粉症などのアレルギー疾患において、アレルゲンによる抗体産生能を高める物質もアジュバントと呼ぶ。例としてディーゼル排気ガス中の微粒子の関与などが考えられているが、メカニズムはよくわかっておらず、実験的にはともかく、実際の症状においてはその影響を疑問視するむきもないではない。
[編集] 腫瘍学におけるアジュバント
アジュバントは、がん患者に対して追加的に行われる補助治療のことである。一般的に、手術や放射線療法を行った後に行われる化学療法のことを指す。初めの手術で検出可能ながん組織を全て取り除き、がんの所見がなくなった場合でも、残存している可能性のある微小ながん組織を根絶し、再発を防ぐ目的で行われる。 なお、アジュバント療法が、時に手術や放射線療法の前に行われることがあり、これをネオアジュバント療法と呼ぶ。
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