アメリカ法
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アメリカ法(アメリカほう)とは、アメリカ合衆国における法ないしは法体系を指す。アメリカは、英米法国の一つの代表的存在ではあるが、連邦制を採用していることなどから、イギリスとは異なった独特の発展を遂げており、この点を中心に解説する。
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[編集] 連邦法と州法の関係
アメリカ合衆国は、連邦制を採用していることから、連邦の権限は合衆国憲法(連邦憲法)に列挙された事項に限定される。連邦議会の立法権については、連邦憲法第1章第8節その他連邦憲法に列挙された事項に限定されており、基本法たる刑法、民法、会社法等は州法で州ごとに規定されている(標準的規定を制定し、各州のおける規定の整合性を図る試みが会社法などを中心になされている)。連邦法では主に知的財産法、破産法、通商関係、麻薬犯罪などが主に規定されている。なお、州法は連邦法に反することはできず、条約も連邦法として扱われる。
[編集] 州際通商条項(commerce clause)
連邦憲法第1章第8節3項において、いわゆる州際通商条項を連邦法が制定できる分野として規定しており、これを根拠にして多くの連邦法が制定されている。州際通商とは一般に複数の州にまたがる商業事項を対象として含むものとして理解されていることから、適用範囲は広く、連邦議会の権限拡張の見地からは有効な規定として利用されている。公共施設における人種差別撤廃などを定めた連邦法も第14修正とともに根拠とされている。これを根拠に多数の連邦法が制定されており、連邦最高裁が州際通商条項に反するとした連邦法は数例しか存在しない[要出典]。
[編集] 第14修正
連邦憲法制定当初は、連邦憲法は連邦しか効力が及ばず、州の行為については効力が及ばないとされてきた。しかし、南北戦争(civil war)後のデュー・プロセス条項(due process clause)により、bill of rights とよばれる人権条項が広範に州の行為にも及ぶようになり、連邦裁判所が州法をしばしば違憲とするようになったきっかけとなった。
[編集] 連邦裁判所と州裁判所の関係
連邦裁判所の権限は合衆国憲法第3編第2節に規定された範囲内で連邦法によって規定され、現在では、合衆国が当事者となる事件、連邦法に関係する事件、一定の場合における州籍相違管轄の場合が連邦裁判所の管轄権とされており、他の事件は州裁判所が取り扱い、日常の大部分の事件は州裁判所で取り扱われ、知的財産や破産などが連邦裁判所で取り扱われることとなっている。