アルコホーリクス・アノニマス
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アルコホーリクス・アノニマス(Alcoholics Anonymous)は、1935年にアメリカ合衆国でビル・ウィルソンとボブ・スミスの出合いから始まり、世界に広がったアルコール依存症を克服するための自助グループで、略してAAと呼ばれる。AAを直訳すると「無名のアルコール依存症者たち」の意味である。AAが創設される前にも、宗教を用いて断酒した人などがいたが、それらとAAの最大の違いは、アルコール依存症者が他のアルコール依存症者に話、手助けなどの行動を起こしたときに、行動を起こしたアルコール依存症者の酒が止まる、ということを立脚点にしていることである。相手を救うよりは自分が飲まないためのグループである。
アルコール依存の回復のために「ミーティング」という名のグループワークにおいて「12ステップ」というプログラムを用いる。本名、職業、住所などの個人情報を明かさないことも、明かすことも本人の自由であり、本名を明かさない場合「ニックネーム」を名乗るという特徴を持ち、酒に囚われない生き方を続けることを互いにサポートしあう。日本における断酒会等の原型ともなった。断酒会とは異なり、自主的な献金だけで維持され、サービスを行うための機関を持ってはいるが、AAそのものは決して組織化されることはない。そのために名簿などがなく、追跡調査も行なわれないため所属するメンバーの正確な総数を知ることはできない。(2006年1月現在、世界160弱の国と地域で220万人、日本では4500~2500人のメンバーが飲まないでいると推定される)また、マスコミ等の広報活動では、フルネームを名乗る、顔を公表するなど個人が特定されるようなことはしない。これはメンバー個人よりもAAのプログラムを知って欲しい、というAAの原理に基づいたものである。このため、問い合わせ先はサービス機関としてJSO(日本ゼネラルサービスオフィス)や全国七ヶ所にあるCO(セントラル・オフィス)となっている。
また、AAの特徴の一つは、酒に対して無力であることから、メンバー一人一人平等であり、一日だけ酒を止めている仲間と、数十年止めているメンバーに違いがないことである。飲まない期間に応じた上下関係はAAではない。
ミーティングでは「言いっぱなし、聞きっぱなし」が原則とされ、「自分たちが過去いつもどんなふうだったか、そして何が起こり、いまどうなっているのか」をテーマに沿って一人語りを行なう。そのため特定のメンバーを責め立てたり、個人の生き方、生活、ライフスタイルなどを批判することはしない。基本的にグループを単位として、週に一度から数度のミーティングを開いている。恵まれている地域では一日数回のミーティングに参加することができる。ミーティング形式も、オープン、クローズドなどがあり、前者はアルコール依存症者以外の家族や医療関係者などの参加も可能であるが、後者はアルコール依存症者のみの参加となる。さらに限定された(ダブルクローズド)女性や35歳以下のヤングなどスペシャル・ミーティングもある。
AAのプログラムは「12ステップ」と「12の伝統」を使うことを基本としている。またスポンサーシップ(特定の仲間との助けたい、助けられたいという強い関係)を使い、ビル・WとDr.ボブから受け継げられてきた、述べ伝えを行ない、ステップをこなす。また、AAの本質である、話、手助けなどの行動を起こしたときにアルコール依存症者の酒が止まることを具現化したのがメッセージ活動であり、アルコール依存症者が滞在している施設(病院、矯正施設)などにメッセージとして、自分たちが今飲まないでいる姿を届けることを行なっている。
このAAのプログラムの原理を使い、薬物依存症者、ギャンブル依存症の独自の自助グループ(NA,GA)などが作れられている。
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