アーサー・マッケン
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アーサー・マッケン(Arthur Machen,1863年3月3日 - 1947年3月30日)は、イギリスの小説家、怪奇小説家である。
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[編集] 生涯
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ウェールズ、モンマスシャーのカーレオン・オン・アスク(現在はニューポート)にて牧師の子として生まれる。ディケンズやド・クィンシーのような作家を目指し、1880年代にロンドンに出るが、子供時代に見た故郷の風景や不思議な幻想が以降の作品のキーノートになる。
マッケンの最初の本格的な作品『パンの大神』(The Great God Pan) は、当時のイギリス文学界において激しい批判を受ける。それはさらに『三人の詐欺師』(The Three Impostors)における『黒い石印の話』(Novel of the Black Seal)と『白い粉薬の話』(Novel of the White Powder)においてその批判は決定的なものとなる。かれの作品は、その批判者から「汚物文学」とまで呼ばれるに至った。最初の妻の病死もあり、『夢の丘』(The Hill of Dreams)以降は、文体と作風を変えた。後述のように20世紀の怪奇小説に極めて大きい影響を与えたが、マッケン自身は、アマースハム(Amersham)の村で二人目の妻と静かに晩年を送った。
[編集] エピソード
マッケンは、当時の心霊研究家、A・E・ウェイトと親しく、また一時期、実際の魔術結社「黄金の黎明団」に所属していた。『白魔』(The White People)にはその影響があるという。また第一次世界大戦中に発表した『弓人』(The Bowman)という作品が、戦場におもむくイギリス兵士の間で実際の逸話と混同される事件が起こったため、それを否定するという顛末があった。
[編集] 死後
マッケンの作品が後世に与えた影響は大きく、ハワード・フィリップス・ラヴクラフトは、マッケンの作品を異次元的怪異であるとし、「マッケンはコズミックホラーを最高の芸術にまで昇華した創作者であり、かれに並ぼうというのはほとんど無謀といっていい」("Of living creators of cosmic fear raised to its most artistic pitch, few can hope to equal the versatile Arthur Machen.")とまで言っている。実際、ラヴクラフトの『闇に囁くもの』(Wisperer in Darkness)に現れる状況は、『黒い石印の話』で語られる状況の(当時の)現代版とも言える程である。またアルジャーノン・ブラックウッドとM・R・ジェイムズにマッケンを加えて「近代英国怪奇文学の三巨匠」と呼ぶ声もある。
日本へは平井呈一の訳業によって本格的に紹介され、平井の全訳による『アーサー・マッケン作品集成』が刊行されている。
日本のホラー作家である朝松健は、「アーサー・マッケン」をもじって筆名とした。
[編集] 代表作
- パンの大神 (1894年)
- 内奥の光 (1894年)
- 三人の詐欺師(東京創元社版の訳では『怪奇クラブ』) (1895年)
- 白魔 (1899年)
- 夢の丘 (1907年)
- 秘めたる栄光 (1922年)
- 生活の欠片 (1928年)
[編集] 資料、外部リンク
- The Great God Pan, CREATION BOOKS, ISBN 1-871592-11-9 マッケン自身による作品紹介、マッケン協会のIain S. Smithによる解説。
- Arthur Machen マッケンの故郷、カーレオンのサイト