イジコ
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イジコは、日本の津軽地方を中心とした青森県全域に伝わる妖怪。
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[編集] 概要
本来イジコ(嬰児籠)とは赤ちゃんを入れる藁製の籠を指す言葉であり、妖怪のイジコはこの籠のイジコが真っ赤に燃え上がった姿で現れるという。
浪岡町の羽黒平では、昼でも暗い杉林に出没したとされ、人が杉林の付近を通ると、張り裂けるような赤ん坊の産声と共に、杉の木の枝の間に真っ赤に燃えたイジコが現れ、木からぶら下がっているかのように左右に揺れる。別説では小雨の夜、苦しそうな男の呻き声と共に現れるともいう。
木に下がって現れるとことから、釣瓶落としや釣瓶火に近い種の妖怪と推測されている。また、出没場所には必ず木があるため、この妖怪と木自体との間に何らかの関係がある可能性が示唆されている。
[編集] 伝承1
浪岡町近くの村の老兄弟が馬そりで弘前へ出かけ、村へ帰ってきたところ、道中ずっと元気だった馬が、とある神社のそばで急に弱りだし、遂に座り込んでしまった。いくら手綱を引いても、馬はその場から動こうとしない。
不審に思った兄弟がそりから降りたところ、神社の木々の間に、真っ赤に燃えたイジコの姿があった。兄弟は馬を捨て、その場から逃げ帰ってしまったという。
[編集] 伝承2
南津軽郡常盤村のある民家でのこと。夜中に庭の木にイジコが現れ、その中で赤ん坊が泣いていた。家人が赤ん坊を助けようとしたが、赤ん坊はその者に笑いかけたかというと、あっという間に恐ろしい化け物へと姿を変え、長い舌で家人を舐めたという。