オチキス
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オチキス(Hotchkiss)は米国の技術者、ベンジャミン・ホチキス(Benjamin B. Hotchkiss)が設立したフランスのメーカーで、軍需品・自動車を製造した。ベンジャミン・ホチキスはコネチカット州ウォータータウンで生まれ、フランスに移り、1867年に最初の工場をRodez近郊のViviezに操業した[2]。その後、パリ近郊のサン=ドニ(Saint-Denis)に1875年に工場を建てた。オチキスの正式名称は「Société Anonyme des Anciens Etablissements Hotchkiss et Cie」である。普仏戦争でのフランス軍向け軍需品を製造し、のちにはアメリカ合衆国政府も大砲を買い入れている。インディアンラコタ族の酋長シッティング・ブルと戦った1879年のミル川での戦いで使われたことが記録に残っている。
代表的なものにオチキス回転砲がある。1874年の写真がある。大砲には砲身が5つあり、それぞれが1分間に43発の弾を打ち出せ、飛距離は1マイル(約1,600 m)だった。口径37ミリから57ミリまで4種類の大きさがあり、57ミリは海軍仕様だった。
20世紀となるころには財務状況が圧迫されており、自動車産業に参入する。フランス政府に多くを依存しないようにという理由だったと1980年代初頭に創業者の息子であるAlfred Koernerが語っている。1900年の世界博覧会に会社は各種大砲を展示したが、そのとき提出した資料には、サン=ドニ工場には400人の従業員と600台の生産治具があると記されている。[1]
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[編集] 自動車
- 詳細はオチキス (自動車)を参照
オチキスの自動車生産は1903年から始まった。最初の車は、17馬力(CV)(13 kW) の4気筒モデルだった。オチキスのエンブレムは2つの大砲が砲身を交差しているデザインのものである。1906年に6気筒モデル。第一次世界大戦が終わると高級ラグジュアリー仕様の6.6リッターAK型を出したが、1台しか製造されなかった。第一次世界大戦中は、戦車の部品や武器を製造した。1933年にはオチキス H35戦車を開発した。
1920年には英国で英国ホチキス社がホチキス自動車を生産しようと試みたがうまくいかなかった。試作車一台で終了している。
改良モデルAM型が1923年から1928に生産され、1928年には、新型6気筒モデルの「AM 80」となった。レースでも活躍し、ラリー・モンテカルロでは1932年、1933年、1934年、1939年、1949年、1950年に優勝している。
「オチキス 680」は大戦間での重要モデルで、6気筒3リッターエンジンだった。1937年にオチキスはアミルカー(Amilcar)と合併する。J・A・グレゴワール(J. A. Grégoire)がデザイナーとして参加する。第二次世界大戦が終了し、「680」の生産を再開した。戦後最初のデザインは「13 CV」13馬力(10 kW)で4気筒モデルだった。1947年からは2リッターフラットフォー(水平対向4気筒モデル)が使われ、これはオチキス=グレゴワール(Hotchkiss-Grégoire)と呼ばれている。1954年には、オチキス社はフランスの自動車メーカードライエ(Delahaye)を買収し、オチキスの車の生産は終了した。オチキス=ドライエ(Hotchkiss-Delahaye)のトラックの生産のみ継続した。1954年オチキス社はウィリスからのライセンスを受けジープを生産した。
1956年、オチキス社はフランスの自動車会社Brandtを合併し「Hotchkiss-Brandt」となり、Brandtの工場でフランス軍向けのジープを1966年まで生産した。1966年にはThomson-Houstonとも合併し「Thomson-Houston-Hotchkiss-Brandt」となった。1970年には車の生産の一切が終了した。社名は変更され「Thomson-Brandt」となった。この時点でオチキスの名前は消えた。
1968年の時点で、エレクトロニクス事業は「Compagnie Générale de Télégraphie Sans Fil (CSF) 」と合併し、「Thomson-CSF」となっている。「Thomson-Brandt」は「Thomson-CSF」の約40%の株を所有する親会社だった。ついで1982年両社共にミッテラン政権により国有化されThomson SAとなった。
[編集] オチキス(ホチキス)の名前の名残り
自動車業界では「オチキス」の名前はホチキスドライブ(ホチキス駆動方式)として動力伝達方式の名前で残っている。軍用ではホチキス銃やホチキス・マシンガンが有名である。また、ホッチキス(ステープラー)はベンジャミン・ホチキスが発明者とされている。
[編集] 脚注
[編集] 外部リンク
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