オーガスタン時代
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オーガスタン時代(英: Augustan literature)とは、王政復古期から初期ハノーヴァー朝にいたるイギリス文学史上の隆盛期であり、転じてイギリスが文化的独立を果たしたとする時期である。「柔弱で女々しい」フランス文化から卒業し、自らの力で「男性的で雄々しい」自らの文化を形成し得たとするものである。ニュートンを始めとして科学においてはめざましい発展を遂げた時代であったが、客観的に見て文化的にはいまだフランスの後塵を拝していた。
ハノーヴァー朝を大陸から迎えたことにより反フランスへと大きく舵を切ったこと、また名誉革命をへて絶対王政からいち早く議会制に重心を移しつつあったことなどが、イギリスの人々をしてフランスと肩を並べるまでに成長したと自負させた。
科学においては学術団体ロイヤル・ソサエティによってイギリス科学の水準をおおいに高めたものの、音楽・文学・芸術等においてはフランスやイタリアなどに追いつけなかった。オーガスタン時代以降も海外の文物を邸宅に飾ることが流行し、東洋との交易が盛んになると「シノワズリ (chinoiserie) 」とよばれる中国文化のブームが到来したりもした。しかし一方で、後進ゆえの旺盛な知的好奇心も備えており、これがイギリスの対外膨張の一因となったのである。
[編集] 活躍した主な文化人
- ウィリアム・ホガース(版画、1697年 - 1764年)、『当世風の結婚』『放蕩息子一代記』等
- ダニエル・デフォー(文学、1660年 - 1731年)、『ロビンソン・クルーソー』
- ジョナサン・スウィフト(文学、1667年 - 1745年)『ガリヴァー旅行記』等
- アイザック・ニュートン(科学、1642年 - 1727年)『自然哲学の数学的諸原理(プリンキピア)』等