オール与党

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

オール与党（オールよとう）とは、日本の、特に地方自治において、日本共産党以外の全ての国政政党が与党化する現象のこと。

[編集] 地方自治体でのオール与党

1980年の社公合意以降、自民・社会・公明・民社など日本共産党を除く全ての政党が地方自治体首長選挙において同一候補を推薦・支持する体制が常態化し、これは「オール与党・総与党体制」としてしばしば批判の対象となっている。国政政党野党が国政政党の与党候補を支持することを「相乗り」と表現される。

これは社会党や民社党が衰退し、民主党が第一野党になってからも続いている。

2006年4月に小沢一郎が民主党代表に就任してから政令指定都市・都道府県の首長選挙で原則相乗り禁止の方針を打ち出した。このことによりオール与党体制は改善するとの見方もあった。しかし実際には、香川、愛媛、和歌山、福井、三重、奈良、鳥取、島根、徳島など、殆どの自治体で自公社と同一の候補を支援したり、「自主投票」として候補者を立てられないなど、方針は十分に実行されていない（ただし、三重は前回独自候補として当選させた候補に、与党の側から乗って来たものである。しかし、徳島では前回民主などの推す現職が与党候補に敗れ、今回は独自候補擁立を断念と後退した）。また、市区町村については現在も相乗りが容認されている。政策面でも自公との対立が余り無く、採決や請願採択などの行動においてもほぼ自公と同じなため、共産党など他の野党との共闘も進んでいない。

たとえば、2007年の愛知県知事選では民主は独自候補を擁立したものの、連合と共に共産の協力をみずから拒絶。共産に独自候補を擁立させた結果、僅差で与党候補に敗れた。逆に、東京都では民主の支援する（公式な推薦・支持はしていない）候補への一本化を共産に期待する意見が見られたが、共産は民主がオール与党体制に加わっていることなどを理由に、かえって民主支援の候補に批判を集中させた。結果として与党が事実上支援する現職が大勝した。このように野党間の政策・心理的開きが大きく、選挙によって各党の思惑が衝突するため、共産以外の野党にとってはオール与党体制に安住しやすい構造となっている。また、共産にとっても、オール与党批判によって一定の支持を確保できる現状があるため、ここでも他の野党との協力に抵抗が生まれる。

新党日本や国民新党、自由連合など小政党は、野党候補が立候補していても自公推薦候補を支援することが多い。自由連合は、2006年に德田毅代表が自民入党の上自民の「友好団体」となることを表明し、名実共に与党化した。

例外として、沖縄では与野党相乗りが少なく、地域政党の沖縄社会大衆党が野党共闘の中心になっている。そのため、オール与党体制とはなっていない。

オール与党体制は問題も多く地方議会で共産党以外の政党が自公の政策にほぼ賛同するようになった結果、議会のチェック機能を果たせなくなりつつあり財政赤字等の諸問題を放置することが多くなったと言われている。