グランタ文字
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グランタ文字(ग्रन्थ グランタはサンスクリットで文学の意)は、南インドの文字であるが、ドラヴィダ人ではなくアーリア人によって用いられる文字。文字系統は初代カリンガ=タイプあたりから派生し、原カンナダ文字の原初体とほぼ同じ流れを持っている。
5世紀以降のチューラ王国とパンドヤ王国の碑文に現れ、さらに7~8世紀に隆盛となったパッラヴァ王国時代になると同国の海上雄飛に伴って、グランタ文字は東南アジアにも伝わった。東南アジアにおける古い碑文は皆このグランタ文字で書かれている。
7世紀後半から字体がやや変化し中世グランタ文字となった。また、行書体が現れた。9~14世紀のチョーラ王国時代の文字は過渡期のグランタ文字でチョーラ文字ともいう。
14世紀頃から近代グランタ文字が発達し、17世紀頃から二つの書体が生まれた。主としてタンジャウール地方の仏教徒が用いる方形グランタ文字、マドラス・アルコット地方のジャイナ教徒が用いる円形グランタ文字である。グランタ文字は現在でも南インドの一部で書写のために用いられている。