ゲームエンジン
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ゲームエンジンとは、コンピュータゲームのソフトウェアにおいて、その核となり基本的処理を行うソフトウェアである。
[編集] 概要
例えば、ある人が野球ゲームを作った場合を考える。そのゲームには野球のボールが地面に落ちて反射する様子をシミュレーションするプログラムは含まれていたとする。さらに、その野球ゲームを作り終えた人が次にサッカーゲームを作ることを計画したとする。その場合、サッカーボールが地面に落ちて反射するプログラムを一から記述することは少なからず無駄を含む可能性がある。最初から「地球上で物体が地面に落下したとき、物体はどのように運動するか」という、ボールの種類を限定しないプログラムを作っておけば野球ゲームにもサッカーゲームにも応用が効いた可能性があった訳である。このような、対象を特定しない抽象的なゲーム用プログラムの集合体をゲームエンジンという。
また近年、3D表現を用いたゲームの発展に伴い、ゲーム内における物体の物理運動を極めてリアルに再現しようという動きが見受けられる。そのような話題の中ではゲームエンジンの中の物理シミュレーション機能を指して、しばしば物理エンジンと称することがある。
[編集] ゲームエンジンの扱い
家庭用ゲーム業界においては、ハードウェアメーカーからC言語やC++言語を利用したゲーム開発環境が提供されることが多い。だが、ゲームメーカーでさえこれらの言語を直接操ってゲームを製作することは避けたいと考えることが珍しくない。前述したような、重複による無駄が発生するためである。よって、多くのゲームメーカーが自社製のゲームエンジンを所有し、ゲーム製作の省力化を図っていると考えられている。
家庭用ゲーム業界においては別の側面も存在する。家庭用ゲームではゲームエンジンの持つポテンシャルが、操作のしやすさや画面描画能力、ひいてはゲームそのものの評価と直結することは日常茶飯事である。そのため、多くのメーカーにとってゲームエンジンの技術的な仔細は企業秘密に値する。
一方、アダルトゲーム業界においては事情が異なる。同業界では、少数のプログラマが製作したゲームエンジン(スクリプトエンジン)が、メーカーやサークルの垣根を越えて広く利用されるケースが珍しくない。これは、アダルトゲーム業界においてはアドベンチャーゲームやノベルゲームと呼ばれる形式のゲームが多く、これらはプログラムよりもシナリオやグラフィックが重視されるため、ゲームエンジンの独自性をセールスポイントにする必要性が低いからであろう。
アダルトゲーム業界におけるゲームエンジンの取り扱いは、プログラムの知識に乏しくてもゲームエンジンさえあれば誰でもゲームを作ることができることを示唆している。この点に着目した一般向けの商品で、有名なものとして「RPGツクール」が挙げられる。
[編集] 主なゲームエンジン
2Dゲーム向け
3Dゲーム向け
- Quakeエンジン (id Software)
- Unreal Engine (Epic Games) Unrealシリーズ以外にも幅広いプラットフォームで使われている。
- Sourceエンジン (Valve Software) ハーフライフ2などで使用