コクラン・コラボレーション
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コクラン・コラボレーション(Cochrane Collaboration)は、最新の根拠に基づいた医療(以下EBM)についての情報を収集し、提供することを目的に1993年に設立された非営利団体。本部はイギリス。提唱者はイギリスの疫学者であるArchie Cochrane。主な活動は、コクラン・ライブラリ(後述)の編纂。
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[編集] コクラン・ライブラリ
コクラン・ライブラリ(Cochrane Library)は、コクラン・コラボレーションによって編纂された文書集である。四半期に一度更新され、全文(フルテキスト)はCD-ROM、またはインターネットを通じたオンライン購読の形で販売されている(日本では多くの大学や病院等が法人契約を結んでいる)。また、それぞれのレビュー記事の概要(abstract)については、コクラン・コラボレーションのサイトやPubMedを通じ、広く一般に無料で開放されている。
コクラン・ライブラリは、EBMの手法について検証したThe Cochrane Database of Methodology Reviews、適切にデザインされた臨床試験についてのリファレンスを集積したThe Cochrane Central Register of Controlled Trialsなど、いくつかの文書データベースの集積である。その中でも、The Cochrane Database of Systematic Reviewsと呼ばれるデータベースは、EBMの考え方に基づき、過去の多くの臨床試験などの論文からエビデンスレベルの高いものを集めて吟味する「システマティックレビュー」(systematic review)の手法を使い、その時点での最良の治療法のエビデンスを提示する記事の集合として、コクラン・ライブラリの中核を成している。
The Cochrane Database of Systematic Reviewsにおける典型的なEBM記事の評価においては、まず、対象となっている具体的な疑問を挙げたあと、該当分野の"Working Group"から、独立して通常複数のレビュアーが任命される。レビュアーはそれぞれ独立に、コクラン・ライブラリ自身のThe Cochrane Central Register of Controlled TrialsやMedlineから、適切にランダム化された試験を検索・抽出し、その試験の妥当性や有効性を評価し、統計的な手法を用いることで、疑問について回答を導き出す。
EBMの考えに厳格に基づこうとする文献データベースとして、2004年現在、コクラン・ライブラリは世界最大規模のものであり、多くの医療従事者が信頼を置いている。
[編集] 参考文献
- Website of Cochrane Collaboration, retrieved on 02/Nov/2004