コンジェスチョン・チャージ
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コンジェスチョン・チャージとは、ロンドン市内での渋滞税、およびそのシステムのことである。
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[編集] 導入の経緯
ロンドン市内では渋滞が日常茶飯事となっており、そのひどさはロンドン市内の自動車の平均速度が、ビクトリア朝時代の馬車の速度と変わらないほどである。 そこで2003年2月17日、ロンドンの市長ケネス・ロバート・リヴィングストン(Kenneth Robert Livingstone)通称ケン・リヴィングストン(Ken Livingstone)がロンドン市内の渋滞緩和と公共交通機関の利用促進のために導入した。
[編集] しくみ
ロンドン中心部に車を乗り入れる際に課金されるシステム(夜間の時間帯と週末は課金無し)で標識や路面表示に右図のマークがある課金エリア内に車で乗り入れる際には、事前に(あるいは当日までに)市内の指定商店などで決められた金額(導入当初は一日あたり5ポンド、2003年7月4日以降は一日あたり8ポンド)を支払うことが義務づけられている。(数日分の一括払いやインターネットでの支払も可) ただし、二輪車や電気自動車系の環境に優しい車、バス、タクシー等はチャージを支払わなくてよいことになっている。 支払うと、車の番号がデータベースに入り、20平方キロのゾーン中にあるカメラがナンバープレートの番号を認識してデータベースとチェックする。その日の夜中までに払わないといきなり40ポンド(¥8,000)の罰金になる。 運が悪ければ、罰金100ポンド。(ただし、支払のタイミングによる加減あり)を上乗せした請求書が送付されてくる。(課税権限は自治体=ロンドン市にあり)
[編集] 現状
2003年2月に導入されてから、渋滞緩和の効果は「大」とする見方が多いようである。ロンドン交通局自身の発表では、渋滞が30%解消され、交通量が15%減少したという。 また、コンジェスチョン・チャージによる収入は、公共交通システムの改善のために利用されることになっているが、故障などでたびたび止まるロンドンの地下鉄が改善されたという話はあまり聞こえてこず、さらには地下鉄も毎年のように値上げされていることから、あの莫大な収入は果たして有効に活用されているのか、といった疑問も出されている。
[編集] 世界への影響
都市の交通渋滞を解消するために、都心への自動車乗り入れ制限を行う政策を導入使用という動きは以前から数多くあり、特にいくつかの国ではナンバープレートの末尾数字をもとに都心への乗り入れ可能な日を設定する政策がとられた。一方、こうした一律の命令ではなく、税や課金の導入によって自動車での都心乗り入れコストを上げることで、都心乗り入れを経済的に不利にして交通数を減らそうという「混雑税(ロードプライシング)」導入の案は多くの都市経済学者や交通経済学者によって提案されており、1998年の時点でオスロ、ベルゲン、トロンヘイム、特にシンガポールで取り入れられていた。
ロンドンの様な大都市によるコンジェスチョン・チャージ導入と、その効果は、エジンバラなどイギリスの他都市でも導入の動きが出てきているなど、イギリス国内外に波及しつつある。
[編集] 関連項目
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