ザーリャ
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ザーリャ(Zarya; ロシア語: Заря́; 「日の出」の文語表現)とは、最初に打ち上げられた国際宇宙ステーション (ISS) のモジュールである。「基本機能モジュール(Functional Cargo Block; FGB; ロシア語の "функционально-грузовой блок" のアクロニム)」とも呼ばれる。ISS の組み立て初期における、電力供給、貯蔵庫、推進力、誘導の各機能を提供した。より専門的な機能を備えた他のモジュールが構築されるに従って、内部の与圧区画と外部の燃料タンクの双方で、ザーリャは主に貯蔵庫として機能することとなる。
公式には米国が資金提供し所有しているのだが、モスクワにあるロシアのフルニチェフ国立研究生産宇宙センター (KhSC) で1994年12月から1998年1月にかけて製造されたものである。計画の一部に組み込まれることとなったのは、ロッキードの "Bus-1" オプションよりも大幅に低価格(4億5000万ドルに対し2億2000万ドル)だったためである。契約の一部として、ほとんどの同一モジュール("FGB-2" と呼ばれている)が予備として KhSC で製造された。これは、さまざまなプロジェクトのために提案された。例えば、プログレス補給船の潜在的な代替機、ドッキングと貯蔵庫のモジュール、汎用のドッキングモジュール、商用モジュール、独立した宇宙ステーション、などである。
ザーリャは、ロシアのサリュート計画のために設計されたTKS宇宙船の子孫にあたる。重量は19,300kg(42,600ポンド)、全長は12.55m(41.2フィート)、全幅は4.1m(13.5フィート)である。1998年11月20日にカザフスタンのバイコヌール宇宙基地からロシアのプロトンロケットで打ち上げられ、400km(250マイル)の軌道に投入された。設計寿命は15年以上である。
ザーリャが軌道投入された後の1998年12月4日にスペースシャトル・エンデバーが打ち上げられ、ユニティモジュールが取り付けられた。
6ヶ月から8ヶ月の間だけ自立的に飛行できるように設計されていたが、ロシアのサービスモジュール「ズヴェズダ」の遅れにより、ザーリャはほとんど2年間自立飛行しなければならなかった。最終的に2000年7月12日にズヴェズダが打ち上げられ、7月26日にロシアのクルスシステムでドッキングした。
ザーリャにはドッキング・ポートが3つあり、両端に1つずつと、もう1つは側面にある。一端にはズヴェズダが、もう一端にはユニティモジュールが取り付けられ、側面(軸方向または天底)のポートはロシアのソユーズやプログレス補給船のドッキングに使われる。10.67m x 3.35m のソーラーパネルが2枚とニッケル・カドミウム電池が6つあり、平均3kwの電力を供給できる。16個の外部燃料タンクには6トンの推進剤を保持し、24基の大型スラスターと12基の小型スラスターを持ち、2基の大型エンジンで軌道の引き上げや軌道変更を行なう。
「ザーリャ」という名前にはロシア語で「日の出」の意味があり、FGB への命名は宇宙空間における国際協調が新時代を迎えようとしていることを表わしている。
初期にはバッテリー充電回路に問題を抱えていたが、後に解決することができた。また、打ち上げ時には ISS の規則から免除されていたが、最終的には微隕石に対するシールドを追加する必要がある。
[編集] 仕様
- 全長:12.56m
- 直径:4.11m
- ソーラーパネルの全長:10.67m
- ソーラーパネルの全幅:3.35m
- 質量:42,600lb (19,300kg)
カテゴリ: 国際宇宙ステーション | 宇宙開発