ジオ・プリズム
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プリズム(Prizm)はかつてゼネラルモーターズと「トヨタ自動車」の合弁企業「NUMMI(ヌーミ)」が製造し、「ジオ」、「シボレー」ブランドで販売していた乗用車である。
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[編集] 概要
プリズムはゼネラルモーターズ(GM)が展開していたエントリーブランド「ジオ」向けに供給されたモデルである。同ブランドでラインナップしていた「スペクトラム(いすゞ・ジェミニのバッジエンジニアリング)」の後継車種として誕生した。生産はGMとトヨタが合弁して設立した企業「NUMMI(ヌーミ)」によって行われたため、同企業の初の生産モデルとなった「シボレー・ノヴァ」の後継モデルにもあたる。NUMMIがトヨタとの合弁事業であることから、プリズムはトヨタ・スプリンターがベースとなっている。
プリズムはベースとなったスプリンターの素性のよさからトヨタの品質を受け継いでいたが、市場においてはカローラとは異なり、あくまでGM内製のモデルであるとみなされていた。そのため競合するカローラと比較して有利になるように、販売店においてさらに安価な価格帯が設定されていた。ジオブランド展開中は唯一のセダンモデルであった(カナダではメトロのセダンモデルもあったが北米では販売されていなかった)が、ジオは1998年に終了してしまう。その後はシボレーブランドで供給が開始される。しかしシボレーでの小型車はあくまでより価格の安価な「キャバリエ」がメインであり、プリズムの存在は常に日陰であった。
しかし安価ながら壊れにくいその車体の評価は確かであり、キャバリエのような爆発的なヒットではなかったものの全代通じて約100万台を堅実に販売している。
後にキャバリエと車種統合され、「シボレー・コバルト」となった。
[編集] 歴史
[編集] 初代
初代 | |
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セダン | |
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ハッチバック | |
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販売期間 | 1990年 - 1992年 |
ボディタイプ | 5ドアハッチバック 4ドアセダン |
駆動方式 | FF |
姉妹車 | トヨタ・スプリンター |
同クラスの車種 | ダッジ・ネオン フォード・エスコート 日産・セントラ シボレー・キャバリエ |
この表は自動車のスペック表テンプレートを使用しています |
初代は1990年に販売を開始。それまでファミリー層をターゲットにしていたスペクトラムのコンセプトを継承している。ベースはスプリンター(AE90系)で、スペクトラム同様にセダン、ハッチバックがラインナップされた(これはベースとなったスプリンターによるところが大きい)。エンジンは1.6リットルL4の「4A-GE」及び「4A-FE」がラインナップされ、それぞれに5速MT、4速ATが組み合わされた。
1992年に生産終了して次モデルへと移行した。
[編集] 2代目
2代目 | |
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販売期間 | 1993年 - 1997年 |
ボディタイプ | 4ドアセダン |
駆動方式 | FF |
姉妹車 | トヨタ・スプリンター トヨタ・カローラ |
同クラスの車種 | ダッジ・ネオン フォード・エスコート ホンダ・シビック シボレー・キャバリエ |
この表は自動車のスペック表テンプレートを使用しています |
プリズムは1993年にモデルチェンジする。ベースは変わらずスプリンターで、AE100系が元となっている。外装には若干ベースとなったスプリンターの面影が残っているが、内装は全く異なっている。先代とは変わって4A-GEエンジンはラインナップされておらず、ファミリー層に向けた落ち着いた性格となっている。また先代では不評であったハッチバックはラインナップ落ちしている。競合するカローラに比べあえて若干価格が低く設定されていたため、爆発的にヒットしたカローラの恩恵を受け、その対抗検討車種として先代に比べ販売台数を大きく伸ばした。
1997年にジオが終了するのに伴い先行して生産終了となった。
[編集] シボレー・プリズム
シボレー・プリズム | |
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販売期間 | 1997年 - 2002年 |
ボディタイプ | 4ドアセダン |
駆動方式 | FF |
姉妹車 | トヨタ・カローラ |
同クラスの車種 | フォード・エスコート シボレー・キャバリエ 日産・セントラ |
この表は自動車のスペック表テンプレートを使用しています |
それまでプリズムの供給元であったジオがGM内の販売戦略の見直しにより消滅したため、プリズムはGMのエントリーブランド「シボレー」へと継承された。その際にモデルチェンジし、従来はスプリンターベースであったボディをトヨタ・カローラ(AE100系北米後期モデル)ベースへとしている。コンセプトはモデルチェンジしても変わらず、堅実に内装や質感を高めて進化した。シボレー内のクラスの位置付けは最下層のメトロに次ぐ、キャバリエと同等のものであった。しかし同クラスに位置していたキャバリエはより安価であり、キャバリエに比べプリズムは高価な装備であったが、市場ではより安価かつ室内空間の広いキャバリエにニーズが傾いていた。
2002年にNUMMIの生産能力を「ポンティアック・ヴァイブ(トヨタ・ヴォルツの姉妹車)」に傾けるために生産を終了。後継モデルは「シボレー・コバルト」である。