スーパーロボット マッハバロン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『スーパーロボット マッハバロン』は、日本現代企画が製作し、1974年(昭和49年)10月7日から1975年(昭和50年)3月31日にわたって日本テレビ系で毎週月曜日19:00 - 19:30に全26話が放送された特撮テレビ番組、およびその劇中に登場する巨大ロボットの名。
視聴率低迷のため、作品が完結しないまま打ち切られることになった。敗因は『スーパーロボット レッドバロン』が突然打ち切りになって終了してから本作が始まるまで半年のブランクがあったことや、子供には理解しづらい物語だった事が考えられる。
なお、前作『レッドバロン』とのストーリー上の関係はない。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] ストーリー
今から10年前、ドイツの天才科学者ゲオルク・ララーシュタイン博士の元でロボット工学を学んでいた嵐田陽一郎博士は、ララーシュタインの世界征服の野望を知り、完成させていた巨大ロボット・マッハバロンをララーシュタインに利用されないよう破壊する。その後、陽一郎はララーシュタインに殺されたが、マッハバロンの設計図は息子の陽に託されていた。
そして10年後。20歳の青年に成長し、国際救助隊 KSS (キス)の一員となった陽の前に、ララーシュタイン率いるロボット帝国の巨大ロボットが現れる。しかし KSS も、嵐田博士の設計図を元に第二のマッハバロンを完成させていた。全世界の命運をかけた、マッハバロンとロボット帝国の壮絶な戦いが始まった。
[編集] マッハバロン
ララーシュタイン率いるロボット帝国の世界征服を阻止するために戦う真紅の巨大ロボット。嵐田陽一郎博士が残した設計図を元に、村野博士が製作した。実は2号機であり、1号機は嵐田がララーシュタインのもとで完成させたが、破壊活動に使われることを恐れた嵐田の手で爆破された。その10年後、ララーシュタインの侵略を予期した村野博士が2号機を完成させたのである。嵐田の息子、陽に託した。
- 身長:50.0メートル
- 体重:300.0トン
- 飛行速度:マッハ15
- 出力:200万馬力
動力源は小型中性子ロケットエンジンで、超合金バロニウムで作られている。オートコントロールでも操縦は可能だが、三分の一のパワーしか出せなくなる。首に武器回路があるため、武器を換装する際に、頭が高速回転する。陽は回転に耐える特訓を受けているので、頭が高速回転しても目を回す事は無い。首を傷つけられると全ての武器が使用不能になってしまう。
嵐田陽が運転する空陸両用の特殊自動車「マッハトリガー」が、脚部に格納されて起動する(1回だけ、背部に格納された)。
[編集] 武装
設定では、マッハバロンは30種以上の武器を持つとある。
- マッハコレダー
- マッハバロンの必殺武器。首を高速回転させ両目から発射する、中性子と1億ボルトの超高圧電流からなる必殺光線。
- フライングナックル
- 内蔵したロケットエンジンで拳を飛ばし、敵にぶつける。無線誘導で飛翔するため、命中率は高い。
- アトミックファイヤー
- 首を高速回転させて、火炎を発射する。
- カノンショッター
- 首を高速回転させた後に口の部分から発射する3連ロケット弾。
- バロンスマッシュ
- 胸部から発射する2門の大型ミサイル。
- アイアンタイフーン
- 首を高速回転させて、口から発射する超合金バロニウム製の針。
- メリコンパンチ
- 右手甲から出る超合金バロニウム製の鋭利な刃。そのまま敵を切りつけたり、フライングナックルと組み合わせて切りつける。
- ベルヘンロケッター
- マッハバロンのベルトを飛ばす。ベルトは誘導操縦か自律操縦で飛行が可能で、救助活動等に使用する。
- ドルフィンビーム
- 手の甲から発射する光線。甲の蓋が跳ね上がって発射される。消火液も発射できる。
- フライングキック
- 飛行してから降下し、敵にキックを浴びせる。
- ウォールビーム
- 体からビームを照射し、前方に光の壁を作り出すバリヤー。
- ピッカーワン
- つま先から発射するミサイル。目標物を追跡する。超低空を這うように敵を追うことができる。自動装填装置付きで、連射可能。
- β光線カウンターアタック
- 村野博士の恩師、南博士の開発したβ光線を発射し、超合金バロニウムを溶かすα光線を10倍にして跳ね返す。超合金バロニウムを消滅させるほどの威力。第22話でワルサーキルαのα光線を跳ね返して倒し、その直後にα光線銃で攻撃してきたゲラーも、α光線を跳ね返して倒した。
[編集] KSS
「キス」と読み、正式名称は Kokusai Scientific Salvage (国際科学救助隊)。キスの浦の海底に基地を置く、ロボット帝国に対抗するための組織。 KSS の隊員達の返事は「キッサー!」である。
[編集] KSSの隊員
- 村野博士
- 嵐田陽の祖父、嵐田竜之介と知り合いのロボット工学者で、マッハバロンの製造者であり、 KSS のリーダーでもある。明晰な頭脳と冷徹な判断力、勇敢な行動力を備えている。常にスーツを着用し、煙草はマルボロを愛飲。
- 岩井明
- KSS の副隊長格で、通称ガンさん。 KSS バード1号機のパイロットで、前線での指揮を担当。短気だが根は陽気な性格である。 KSS バード搭乗時以外はメガネをかけている。
- 白坂譲司
- KSS の隊員で、通称ジョージ。 KSS バード2号機のパイロット。陽のケンカ友達的存在。身が軽く、格闘技に長けている。
- 小杉愛
- KSS の紅一点。18歳。 KSS バード3号機のパイロット。友人を救えなかった過去を持ち、救助活動に対する強い使命感を持つ。最終話で死亡する。9歳の弟の健一がいる。
- 嵐田陽
- マッハバロンを操縦できる唯一の人間。20歳。マッハバロンの設計者、嵐田陽一郎の息子。短気で慌て者だが、子ども好きで優しい。
[編集] 警視庁
- 花倉刑事
- KSS の捜査に協力するベテラン刑事で、空飛ぶ小型バイク、バルーンヘリヘリ、銃や剣になる特殊警棒、弾丸を跳ね返す傘等、様々な発明をすることから発明刑事と呼ばれている。ムードメーカーだが実力者でもある。
[編集] KSSのメカニック
- マッハトリガー
- マッハバロンの操縦席を内蔵したスーパーカー。翼を広げて飛行も可能。車体前部にマシンガンを装備。ベース車輌はS30型日産・フェアレディZ。ラクダのこぶの様に垂直に盛り上がったフロントフェンダーが特徴的。
- KSS バード
- KSS の戦闘・救助両用機。1号機から3号機まで配備されている。1人乗りで飛行速度はマッハ5。海底基地からカタパルトが浮上し発進する。主要武器はバードミサイルと翼に内蔵されたウイングカッター。なお、イマイのプラモデルでは「マッハバード」という名称であり、箱絵で前部が分離する描写がされていた。
- KSS マリン
- KSS の潜水艦。2人乗りで航行速度は100ノット。武器は魚雷を装備している。コックピットは緊急時に切り離すことが可能。
- KSS 専用車
- 岩井や譲司が主に使用していたジープ(スズキ・ジムニー)、村野が使用したオースチン(ロンドン名物の黒塗りタクシーと同型)、510型日産・ブルーバードSSS等が登場した。
[編集] ロボット帝国
悪の科学者・ララーシュタインが、ロボットを使った世界征服という夢を実現させるために結成した組織。首領のララーシュタイン以下、サイボーグ三兄弟、アメリカンフットボール選手の姿をしたサイボーグであるロボット帝国兵士から成り立っている。
- ゲオルク・ララーシュタイン
- ロボット帝国の首領。高名なロボット工学者であり、嵐田陽一郎の師でもある。厳格かつ猜疑心が強い性格。怒ると赤くなる逆立った髪型は、放射線を浴びた後遺症という設定がある。
- タンツ・ララーシュタイン
- ゲオルグの長男。陸軍参謀。性格は残忍で、相手をジワジワと痛めつける作戦を得意とする。第24話で操縦していた水爆ミサイルもろとも死亡。
- スーカン・ララーシュタイン
- 次男。海軍参謀。性格は狡猾で、隠密作戦を得意とする。最終決戦で体を改造して、壁や銃弾をもすりぬける中性子人間になるも、中性子人間の効果を除去する装置を破壊されたために死亡。
- ゲラー・ララーシュタイン
- 三男。空軍参謀。性格は短気で利己的。次兄スーカンの補佐に回ることが多い。第4話でスーカンを陥れて指揮権を奪い、それが発覚してララーシュタインから1カ月動力源抜き取りの罰を受けた事がある。第22話でマッハバロンに自らのα光線を跳ね返されて死亡。
[編集] スタッフ
- 原案:斉藤汎司、渡辺一彦
- 監督:鈴木清、高野宏一、鈴木俊継、山本正孝、前川洋之、浜しんぎ
- 脚本:上原正三、井上知士、山崎晴哉
- ロボットデザイン:田中視一
- ミニチュア造形:ヒルマモデルクラフト
- 音楽:武田由彦
- 主題歌1:「マッハバロン」(作詞:阿久悠/作編:井上忠夫/歌:すぎうらよしひろ)
- 主題歌2:「眠れマッハバロン」(作詞:阿久悠/作曲:井上忠夫/歌:すぎうらよしひろ)
[編集] 出演者
- 嵐田陽:下塚誠
- 小杉愛:木下ユリ
- 岩井明:力石考
- 白坂譲司:加藤寿
- 小杉健一:内海敏彦
- 村野博士:団次郎
- 花倉刑事:深江章喜
- ゲオルク・ララーシュタイン:伊海田弘
- タンツ陸軍参謀:麿のぼる
- スーカン海軍参謀:所雅樹
- ゲラー空軍参謀:木村章平
- ハイム中尉:天野豊
- マッハバロン:中山太郎
- 敵ロボット:遊佐知幸
- ナレーター:岸田森
[編集] 放映データ
話数 | サブタイトル | 登場ロボット |
---|---|---|
1 | マッハバロン暁に出撃す |
|
2 | 空の牙・海の罠 |
|
3 | マッハバロン強奪計画 |
|
4 | キス海底基地爆破命令 |
|
5 | この一瞬に賭けろ |
|
6 | 東京爆破5時間前 |
|
7 | 決断の10秒間 |
|
8 | 恐るべき自爆の軍団 |
|
9 | ガラスのスーパーロボット |
|
10 | まぼろしのジャイアントバロン |
|
11 | 裏切りの戦場ケ原 |
|
12 | 無敵の超合金ロボット |
|
13 | 恐るべき UFO の正体 |
|
14 | 友にささげるマッハコレダー |
|
15 | 戦慄!! スナイパーQ |
|
16 | 密告者の海 |
|
17 | 絶体絶命マッチ箱作戦 |
|
18 | 発明刑事の偉大なる発明 |
|
19 | 地獄から来た天使 |
|
20 | トロイ作戦1対1 |
|
21 | 南々西へ進路をとれ |
|
22 | 追跡・フェニックスの謎 |
|
23 | ララー怒りの地獄作戦 |
|
24 | 水爆特急900キロ | |
25 | 切り札はパイルX |
|
26 | マッハバロンの超秘密 |
|
[編集] 関連項目
- スーパーロボット レッドバロン
- 小さなスーパーマン ガンバロン
- スーパーロボット
- トップをねらえ! - 作品内に登場する巨大ロボット·ガンバスターが使用する兵器「バスターコレダー」は、マッハバロンの必殺技「マッハコレダー」から命名された。
- アオシマ - 放映当時マッハバロンのプラモデルを販売、1975年度に最も売れたプラモデルとなった。
日本テレビ系 月曜19:00枠 | ||
---|---|---|
前番組 | スーパーロボット マッハバロン | 次番組 |
柔道讃歌 | ガンバの冒険 |
カテゴリ: テレビ番組に関するスタブ | 日本テレビの特撮番組 | 1970年代の特撮作品 | 架空のロボット | SF作品