チョーク弁
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チョーク弁(-べん)とは、エンジンで燃焼させる燃料の混合比を高めるため、吸入する空気量を調節する装置のこと。燃料の混合比率を高めた混合気をエンジンに送り込むことにより、始動を容易にする。寒冷地でガソリンなどが気化しにくいため必須の装置である。エンジンが始動したら、装置を元に戻し正常な混合比で走行させるようにする。かつては、キャブレターを持つほとんどの自動車にこのチョーク弁操作ノブがついていたが、1970年代中頃からオートチョーク化が進みドライバーが直接操作することはなくなった。2000年以降は電子制御燃料噴射装置装着車がほとんどとなり「チョーク」の名そのものも忘れられている。キャブレターを使うオートバイでは、未だに手動式のチョークが多い。
混合比を高める方法としては、主に以下の2種類の方式がある。
[編集] チョーク弁式
キャブレターのジェット類の上流に弁(これが文字通りのチョーク弁)を設け、これを閉じることでエンジンの吸気負圧を直接燃料流路に作用させて燃料を吸い出すタイプのもので、キャブレターを持つ多くの乗用車がこれを採用した。この方式では、たとえ全開状態だとしてもチョーク弁機構そのものが空気流路中に残る。
[編集] スタータ式
始動増量用に別の燃料流路を設けて、これを手動で開閉する方式。ベンチュリー径が自動車に比べて小さく、かつアクセル操作で変化させることのできるオートバイに多く見られる。
[編集] 操作方法
温暖な気候ではチョークは必須ではなく、寒い時やエンジンがかかりにくいときに操作するものである。チョークを使ったエンジン始動法は次のとおりである。
- シガライタ程度のノブであるチョーク・ノブを一杯に引き出す
- セルモーターを回してエンジンを始動する
- エンジンがかかったら、チョーク・ノブを半分戻す(半分の位置に節度感がある)
- エンジンが安定して回転する状態まで待つ(これが本来の暖気運転である)
- エンジン回転が安定したらチョーク・ノブを元の位置に戻して発進する