チーム・マイナス6%
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チーム・マイナス6%は、地球温暖化の一因とされる温室効果ガスを抑制するための日本政府が主導するプロジェクトのタイトルである。
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[編集] 背景
2005年に発効した京都議定書で、地球温暖化を抑制するため、日本は2008年から2012年の間に温室効果ガスの排出量を1990年にくらべて6%削減することが目標として義務付けられた。この目標を達成するため、政府の地球温暖化対策推進本部は京都議定書目標達成計画を作成した。この計画の中で、国民に向けた情報提供、地球温暖化対策の普及啓発を目的として、経済界と協力して進める大規模な国民的運動としてチーム・マイナス6%(運営は「チーム・マイナス6%運営事務局」)を立ち上げた。
[編集] 目的
- 国民のライフスタイル・ワークスタイルを変革させ、京都議定書の目標を達成するために[1]
- 温暖化の危機的状況を国民に知らせること
- 何をし、何を購入することが温暖化防止行動となるのかを国民に知らせること
- 温暖化防止行動の実践を促すこと
[編集] アクションプラン
この運動では、個人・法人・団体が、地球温暖化防止につながる具体的な行動を計画し、実行し、見直し、改善していく。特に、下記の6つの具体的な行動をアクションプランとして定めている。
- 冷房は28℃に設定しよう(温度調節で減らそう)
- 蛇口はこまめにしめよう(水道の使い方で減らそう)
- エコ製品を選んで買おう(商品の選び方で減らそう)
- アイドリングをなくそう(自動車の使い方で減らそう)
- 過剰包装を断ろう(買い物とごみで減らそう)
- コンセントからこまめに抜こう(電気の使い方で減らそう)
[編集] 主要な対策とロゴマーク
地球温暖化対策としてさまざまな試みが行われ、その中には社会現象となったものもあった。企業や商品が、CO₂削減に役立つことを示すために、次のロゴマークが作成され、効果的に使われている。
- チーム・マイナス6% - 「チーム・マイナス6%」に参加する企業・団体のチーム員が自己の参加を示す(参加する個人には「チームパス」が発行される)
以下のロゴは、「チーム・マイナス6%」に参加していることを示すとともに、そのロゴと併用することが推奨されている。
- ハロー!環境技術 - CO₂削減に役立つ環境技術を活用したエコ製品であることを示す。生活者は、CO₂削減に貢献する環境技術を使ったエコ製品を積極的に選ぶことができ、企業は製品が売れることで、更に環境技術の開発を進めることができる
- COOL BIZ(クール・ビズ) - 夏のオフィスの冷房温度を28度としても涼しく快適に格好良く働けるワークスタイルづくりに貢献できる製品や技術であることを示す
- WARM BIZ(ウォーム・ビズ) – 省エネ効率の良い空調、電化製品など、冬の暖房に頼り過ぎないワークスタイルづくりに貢献できる製品や技術であること、冬の暖房温度を20℃にする企業・団体であること、「ウォーム ビズ」の広報・普及啓発に貢献する企業・団体であることを示す
[編集] 参加方法
個人がこの運動に参加する場合、上記のアクションプランから自分にできそうなものを選択、申請し、実践する。法人・団体がこの運動に参加する場合、上記のアクションプランをはじめとして、地球温暖化防止につながる行動計画を立て、申請、実践する。
[編集] 法律
環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律(2003年7月25日法律第130号、2003年7月一部施行、2004年10月完全施行)
[編集] 予算
約30億円(2005年・2006年度、環境省)
[編集] 実施と成果
[編集] 参加メンバー、法人・団体
- 個人
- チームリーダーを内閣総理大臣が、サブリーダーを環境大臣が、応援団長をゴリエが務めている
- キャラクターチーム員として、こまめちゃん(地球温暖化防止推進リーダー)、カーネルサンダース、ウルトラマンといったマスコットキャラクター・テレビキャラクターなども登録されている
- 1,002,028個人(12月22日現在)
- 法人・団体
- 官公庁、地方自治体、NPO・NGO、労働団体、一般企業・団体
- 9,525団体(2006年12月22日現在)
[編集] 企業による対策例
- 省エネルギー化 - 生産・使用・排気までのエネルギー消費の作用かを目指した商品開発によるCO₂削減
- アイディアの表彰 - 節水アイディア
- 過剰包装防止 - 風呂敷展、マイバッグの無料配布
- ウォーム・ビズ - 「ウォーム・ビズ・フェア」の実施、「ウォーム・ビズ」製品の開発
[編集] 成果
本プロジェクトの目標は、京都議定書の目標達成のための情報提供・普及啓発であり、成果を数値として表すことができないため、ここにはおおもとである「京都議定書目標達成計画」に対する進捗状況を掲載する。
- 2003年度実績 +8.2%(基準年比増減)京都議定書での目標-6%を達成するためには、2003年度から14.2%を削減しなければならない。
- 2004年度実績 +8.0%(基準年比増減)京都議定書での目標-6%を達成するためには、2004年度から14.0%を削減しなければならない。
- エネルギー起源二酸化炭素 +12.9%
- エネルギー転換部門 +17.4%
- 産業部門 -3.4%
- 運輸部門 +20.3%
- 業務その他部門 +37.9%
- 家庭部門 +31.5%
- 非エネルギー起源二酸化炭素 +4.9%
- メタン -26.4%
- 一酸化二窒素 -14.4%
- 代替フロン等3ガス -54.0%
- エネルギー起源二酸化炭素 +12.9%
進捗状況から、現在のままでは、6%減という数値の達成はできないため、対策の見直しを行っている。
[編集] 問題
啓蒙を目的とした本プロジェクトであるが、次のような問題・批判を生んでいる。
- 冷房設定温度以外は具体的数値目標がない、またなぜ冷房を節約すると温室効果ガスが削減されるのか具体的な説明が無い
- 二酸化炭素排出量が多い暖房に全く触れていない。
- 「環境問題が企業の経費削減に利用されている」との声がある。[要出典]
[編集] 参考文献
- ^ *地球温暖化対策推進本部(首相官邸)『京都議定書目標達成計画』2005年、p1,p57。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
カテゴリ: 出典を必要とする記事 | 環境マネジメント | エネルギー政策 | 地球温暖化