ツアーオペレーター

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ツアーオペレーター（Tour Operator）とは、旅行会社の委託を受けて海外旅行の現地手配を行なう会社(法人)のことである。個人または複数の添乗員を指すツアーコンダクターと混乱するケースが多い。

現地の手配とは、旅行者が旅行会社と交わした契約内容に従い、決められた時間に、決められた料金で、決められた現地の宿泊場所、移動手段、食事、その他のサービスを利用できるように確保する業務一般を指す。旅行者から見た場合は対価を支払う代わりにサービスを提供する双務契約を交わした旅行会社とは別法人である。しかし、契約上の第三者であるツアーオペレーターが実際に現地でのサービスを旅行会社へ斡旋し、結果として旅行者が利用するのが現実である。後述するように、国民全体から見た場合、海外旅行経験の珍しくない今日の日本でもこの点について旅行者の側が理解していないケースが多く、トラブルが発生しがちである。

宿泊場所、移動手段、ホテル、食事、バス、観光、ガイドなど地上（ランド）手配が多いことから以前はランドオペレーター（Land Operator）とよばれていたが、最近では航空機（エア）も含めた手配も行なうためツアーオペレーターとよばれることが多い。「ツアー」オペレーターというが、団体旅行だけでなく個人旅行（いわゆるFIT）の手配も行なう。なお、ツアーオペレーターとは「ツアーを運営する者」の意味で、欧米では旅行会社を含めたツアーを実施する会社の総称であり、日本での意味よりも広義である。

ここでは日本でのツアーオペレーターについて述べる。

[編集] 概要

日本の旅行会社が海外旅行の手配を行なう場合、直接海外のホテルやバス会社などと連絡しあって手配することはまれで、一般的にはツアーオペレーターと呼ばれる海外旅行の手配を専門に行なう会社に手配を委託する。旅行会社から委託を受けた日本のツアーオペレーターはさらに現地のオペレーターに指示をして実際の手配を行なう。この現地のオペレーターをローカルオペレーター（Local Operator）またはベンダー(Vender）という。旅行会社のパッケージツアーの最終案内書（最終日程表）に記載されている現地連絡先または現地旅行社と呼ばれるものがこれである。ローカルオペレーターは手配だけでなく現地にツアーが到着してからはバス会社やガイドに指示を出して実際のツアーの運営も行なう。添乗員のついていないツアーの場合は日本の旅行会社に代わり旅程管理責任を負う。ただし、オペレーター側はそれを認識していない場合も多く、しばしばトラブルになっている。

[編集] 系列

ツアーオペレーターには外資系と日系がある。外資系は主に海外の旅行会社の日本事務所や日本法人であり、日系は日本の大手旅行会社の子会社の場合と大手旅行会社とは関わりない独立系とがある。以前は大手旅行会社は手配のために海外に子会社を持っていることが多かったが、最近はリストラが進み海外の子会社を閉鎖して外部委託するケースが多くなっている。ローカルオペレーターは日本のツアーオペレーターの系列会社である場合と資本関係のない契約会社の場合がある。

[編集] 旅行会社との関係

ツアーオペレーターとしての業務は基本的に旅行会社との取引であり直接旅行者と取引をしないので日本の旅行業法による旅行業登録は不要である。したがって本来ツアーオペレーターは旅行会社ではない。しかし、最近はツアーオペレーターとして旅行会社からの依頼された手配を行ないながら、同時に旅行業登録を行ない第1種旅行業者としてインターネットなどで直接旅行者と取引してFIT向けのホテルや観光などの手配を行なう会社も多い。また、ジャルパックのようにもともとはパッケージツアーのホールセラーであった旅行会社がツアーオペレーター業に進出してきている例もある。以前は旅行会社とツアーオペレーターの区分は比較的はっきりしていたが、昨今はかなり曖昧になっている。

さらに最近は前述のように地上手配に加えて航空機の手配まで行なうツアーオペレーターも多い。これをユニット手配という。また、旅行会社の中には自社でツアー企画をせず、ツアーオペレーターが持ち込んだ企画をそのまま自社ツアーとして実施する例も多い。ツアーオペレーターは旅行会社より現地事情に詳しいので持ち込み企画にはメリットがあるのも事実だが、反面、同じ企画を複数の旅行会社に持ち込むことが多いため、旅行会社は違っても内容はほとんど同じというツアーが市場に多くなっている一因ともなっている。

ユニット手配や持ち込み企画の増加は、競争の激しい旅行業界で旅行会社が営業や販売に注力するため企画や手配をアウトソーシングするという必然的な動きともいえる。しかしながら、企画力や手配力は営業力、販売力以上に旅行会社の生命線とも言えるものであり、これらをツアーオペレーターといういわば下請けへ丸投げすることは旅行会社が自らの力を弱めることになり、ひいては旅行会社の存在意義にも関わってくる問題となるのではないかと懸念する声もある。