トップ・ギア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
トップ・ギア(Top Gear)は自動車及びモータースポーツについて、イギリスのBBCテレビジョンの長寿番組である。この番組は現在第9シリーズに入りBBC2上で日曜日8 PM (UTC) に放送されている。新車情報、自動車に関する一般的な情報などを取り扱う情報番組。BBC によって Top Gear magazine も発行され多くの話題を共有している。
目次 |
[編集] 歴史
[編集] 1977年から2001年まで
- 1977年にスタートした長寿番組である。もともとは単なる自動車情報番組に過ぎなかったが、1990年代初めにジェレミー・クラークソンが番組に加入して方向性が変わってから国民的な人気を得た。
- ジェレミーが他の分野での経験も積みたいという事で番組を降板してからは番組の人気も下火となり、2001年には番組が一旦終了してしまう。番組の出演者であったティフ・ニードルなどはファイブ・チャンネルのフィフス・ギアに移ってしまう。しかし翌2002年にはジェレミーが再び番組を立ち上げ、新たなスタートを切る事となった。
[編集] 2002年から現在まで
- 主な内容としては新車情報の紹介などに加え、番組独自のコースで様々な(スポーツカーに限らない)クルマのラップタイムを比較するコーナーや、自動車を使った実験のコーナー、イギリスの芸能人、著名人、有名人などに番組のコースで同じクルマを使ってタイムを競ってもらうコーナーなどがある。
- 実験のコーナーは「実験」といってもかなり激しい内容となっており、公共交通機関とフェラーリの612スカリエッティとでスキーのリゾート地までどちらが早くつけるかといった競争や、WRCのWRカーとボブスレーの競争、シトロエンC1とリチャード・ハモンドを冷凍庫に入れて人間を車のどちらがより低温に耐えられるかという耐久戦、ポルシェのカレラ911の耐久性を検証するために硫酸をかけたりピアノをクレーンから落としたりしてわざとクルマを壊す実験、様々なクルマの「実際の安全性」を検証するために番組専属のドライバーが実際に乗った状態で時速約30マイル(時速約48キロ)でぶつけたりする実験等を行ったりした。(ちなみにWRカーとボブスレーの競争はボブスレーの勝ち、公共交通機関とフェラーリの競争はなんとゴールのホテルに向かう最後の直線で、フェラーリが歩いている公共交通機関組を追い抜いてフェラーリの勝利という結果であった。シトロエンC1と人間の耐久戦は-17℃で軽油が凍結し更に電気系統が故障した為、リチャードの勝利。ポルシェの実験ではクルマを壁にぶつけ、硫酸をかけ、ピアノをクレーン車から落とし、ショットガンで撃ってもまだ動いたので、クレーンで吊り、爆薬を仕掛けたキャンピングカーに落下炎上させた。)
- トヨタ・ハイラックス2.4Dの実験は2週に渡って放送されていた。部品交換不可・基本工具での修理のみ可という条件で、階段走行・立木への衝突・海中に沈められる・農作業小屋破壊・クレーンに吊られたキャンピングカーが落下衝突・解体用の鉄球にぶつけられる・炎上(但し、鉄球と炎上には手加減が見られる。)しかしスタジオに自走で登場し、観客の喝采を買った。このハイラックスは次の放送ではロンドン郊外の老朽高層マンションの発破解体現場の屋上(高さ240フィート=約73m)に登場する。発破解体後、瓦礫の中から引きずり出され、応急修理の後エンジンが懸かり、更にスタジオに自走登場した為、レギュラー陣及び観客の大喝采を浴び、博物館に収蔵される事となった。
- ときには番組の内容が行き過ぎることもあり、視聴者から借り受けたアンティークカーの車軸を曲げてしまい、オーナー怒らせてしまった事もある。また、韓国などのアジア製(日本は含まない)の安価なのクルマの出来を検証した際に「このクルマの乗り方は一つだけ。覆面をかぶって載る事だ。じゃないと自分がこんなクルマを買ったっていう事が近所に知り渡って恥ずかしいからね。」「(ヒュンダイ・アクセントに対して)なんだっけこのクルマの名前?えーっとアクシデント(=「事故」)だっけ?」などかなりの暴言が飛び出した上に、「韓国車なら僕らにだって作れる」と言って洗濯機、乾燥機、電子レンジなどの使用済みの電気製品を組み合わせて作った自作のクルマを紹介して間接的に揶揄したことなどがあり、このことから韓国のファンから反感を買ったこともあった。もっとも、この辛口の批評が番組の人気の元となっている部分でもある。しかし、同じ韓国車でも大宇・マティスに関しては2000年に同番組の「Best Value Car」を受賞している。
- 2005年12月現在出演者はジェレミー以下リチャード・ハモンドとジェイムズ・メイの3人である。また、これに加えてラップタイムのコーナーでのドライブを担当するスティッグと呼ばれる覆面ドライバーも存在する。彼に関してのプロフィールは一切明かされておらず、元F1テストドライバーではないかと見られている(これはスーパー・ライセンスが必要となるF1マシン(番組で使用したのはルノー製のマシン)を使用した事もあったことからである)。2003年には番組の実験においてクルマの操作を誤り海に車ごと転落し、スティッグは死亡してしまい(実際には生きていた)、その翌放送分を持って「新スティッグ」へとバトンタッチする事になる。同年、ウィリアムズ、アロウズ、ベネトンなどのF1チームでテストドライバーを務めていたペリー・マッカーシーが自著の中で自身がスティッグだったことを明かした。新スティッグについては未だ経歴は明らかにされていない。
- 2006年9月20日、ノース・ヨークシャー州の空港滑走路を使用してリチャード・ハモンドが同番組のコーナー収録中、約480km/hという英国内の陸上走行速度記録更新の為に改造されたジェットエンジン搭載車を運転中に転倒事故を起こし一時重体に陥る。それ以来しばらく放送を中止した。ちなみにこの事故はBBCのニュース速報にもなった。2007年1月末に番組が再開し、リチャード・ハモンドが奇跡的に復帰した。再開後の初放送では事故の映像が公開され、ハモンドが自らその瞬間を解説している。直接の原因は右前輪のバーストだが、滑走路の使用許可の時限が迫っており、撮影を焦ったのも一因。また3回目の試走が事故につながったのだが、エンジンを全開にした2回目の映像からも、いつもの彼らしくない恐怖感が感じられる。番組の最後には世界中から寄せられた見舞いのメッセージとレスキュー隊、病院関係者にテレビを通じて感謝の言葉を述べた。
[編集] 放送
[編集] 本国イギリス
トップ・ギアは日曜日の夜にBBC2 上で初回が放送され木曜日の午後に再放送されている。それ以上の再放送 (再編集版) は w:UKTV People で見る事ができる。
[編集] BBC World
トップ・ギアは BBC World 上で見る事ができるが、おおよそ30分から35分長の再編集版である。ただし、北米向けへは放送権の都合により放送されず、別番組に差し替えられている。
[編集] オーストラリア
オーストラリア FTA 放送局 SBS は2005年12月から自国内で始まるトップ・ギアの放送権を獲得し、独自の再編集版を放送している。
[編集] 日本
日本ではBBC World放送開始以来、30分間の再編集版 (同時通訳) を専門番組として放送を行っている(2007年1月〜3月にかけて「トップ・ギア スペシャル」と題した過去の総集編を放送中)。
BBC JAPANが放送開始後、トップ・ギア・エクストラ (日本語字幕付き) として1時間の専門番組を放送している。(しかし現在BBC JAPANは廃局している。
また2007年1月24日より、Yahoo! Japanの Yahoo!動画にて、2005年にイギリスで放送された第6シリーズがストリーミング開始された。これはイギリスで放送されていた番組とほぼ同一であるが、日本語字幕が付加され、イギリスの芸能人や著名人が安価な車に乗ってラップタイムを競うStar in a Reasonably-Priced Carのコーナーと各種応募先の告知がカットされていたが、VOL7からロック歌手のジャスティン・ホーキンスのラップタイム収録と共に、以降から芸能人や著名人のラップタイムも収録されるようになった。
[編集] 北アメリカ
アメリカではディスカバリーチャンネルが放送していたが、2005年11月現在では放送されていない (しかし近日中に放送が再開する旨を明らかにしている)。
カナダの視聴者向けに、BBC Canada は本国イギリスの BBC2 上で放送しているオリジナル版を、まもなく放送予定であると発表した。