トノー (自動車)
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トノー(Tonneau:発音ta’-no)とは、初期の乗用車で後部座席コンポーネントをさす用語であり、これを装備した乗用車のボディスタイルを表わした。現代ではオープンカーのフロントシート後部エリアやピックアップ・トラックの荷台部分を指すのにも用いられている。
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[編集] 後部座席

当初のトノーは2座席のベーシックモデルラナバウトや初期型2座席ツーリングカーのオプションとして販売され、固定されて使用された。トノーをつけた車はラナバウトやツーリングカーではなくトノーとよばれた。クレストモビル(Crestmobile)などのように、中には取り外し可能なものもあった。フランス語で、樽、容器、カバーの意味で、トノーの座席が半円形の樽状であったところに由来する。
初期のトノーは後方背もたれ中央部がドアを兼ねていて、後部からステップを使い出入りした。ホイールベースが短くトノー部の脇は後輪だったので横に乗り降り口は作れなかった。初期型シートはリアエンジンの上部に高く馬車のように設けられていた。当時は車のスピードもそれほどなかったため、運転席もトノー部も馬車のようなシートであってその周囲を囲って人が落ちないようにする必要もなかった。ホイールベースが伸び、フロントエンジンとなるにしたがいトノー部は低くなり、トノー脇にドアが設けられるようになりサイドエントランスとなった。片側一枚、両サイドのものがある。これをサイドエントランストノーとよび、この時点でそれまでのものをリアエントランストノーとよんで区別するようになった。最初のサイドエントランストノーはピアレスだったが、すぐに他社も追従した。当初はドアはまだなかった。しばらくしてドアがつけられるようになり、さらにリアのサイドのドアはフロントドアと同じようになってボディに一体化し「進化したツーリングカー」となった。その後ボディは覆われセダンとなる。キャディラックでは1910年モデルだった。オープンモデルはセダンやクーペのクローズ状態とオープン状態を変換可能とした「コンバーチブル」となる。
[編集] オープンカー
第二次世界大戦後の時代になると、トノーはオープンカー(コンバーチブルやロードスター)のフロントシート後部エリアを指すようになった。フロントシート後方は2座ではコンバーチブルトップの収納に使われたり、4座ではリアシート部や荷物室となっている。この部分を覆うためのハードカバーやソフトカバーを「トノカバー(tonneau cover)」という。
[編集] ピックアップトラック
トノーは米国では現在ピックアップトラックの荷台部分を指しても用いられる。
[編集] トノカバー
日本で用いられるトノカバーとは、一般的にはステーションワゴンやミニバンなど室内部であるが窓ガラス越しに内部の荷物などを見ることができないようにするための後部荷室の目隠しカバーの意味で使われる。オープンカーのカバーを指すためにももちろん用いられている。
ピックアップの荷台の覆いをトノカバーともいう。リア部のトノカバーは電気自動車のトラックでも使われ、空力抵抗を減らす目的で用いられる。
[編集] トリビア
現代フランスの自動車用語で「Voiture tonneau」(ヴォワチュール・トノー)というと、レストア時などに使用するための、車両の前後を固定し360度回転できる装置をいう。日本ではバーベキューになぞらえてカーバーベキュー(カーベキュー)といわれることもある装置である。
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