トヨタ・FCHV

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トヨタ・FCHVはトヨタが生産する燃料電池自動車である。なお、トヨタはこれを燃料電池と二次電池のハイブリッドシステムであるとし、Fuel Cell Hybrid Vechle（燃料電池複合型自動車）の略としてFCHVの名を与えている。2004年3月現在、日米で12台が稼働している。

トヨタFCHV（名古屋市役所にて）

中央に見えるのがパワーコントロールユニットで、燃料電池スタックはパワーコントロールユニットの下に搭載されている

東京都交通局に貸し出されていたFCHV-BUS初期型（東京ビッグサイトにて，2003～04年）

2005年日本国際博覧会（愛・地球博）会場間シャトルバス当時のFCHV-BUS

知多乗合に貸し出されている燃料電池バス"FCHV-BUS"（中部国際空港）

[編集] 概要

2002年12月より日本とアメリカで限定リース開始、12月2日に中央官庁（内閣府　国土交通省　経済産業省　環境省）へ貸し出された。ベース車はクルーガー。値段はリースのみで日本では月額120万円、アメリカでは1万ドル。

[編集] 特徴

動力源には最大出力90kWのトヨタ製燃料電池スタック「トヨタFCスタック」と、二次電池として21kWニッケル水素電池を搭載し、モーター(80kW、260N.m)を駆動する。燃料電池スタックと二次電池をPCU(パワーコントロールユニット）で繋ぎ、走行・車両の状況に合わせ、それぞれを最適に制御している（状況によっては燃料電池の発電停止、アイドルストップも行っている）。直流コンバータ等PCUによる複数電源の接続は、最大電流に制限を加える等デメリットも存在するが、確実な制御によるメリットの方が大きいとのトヨタの判断であろう。直流コンバータ等が不要となるキャパシタを搭載したホンダ FCXとは正反対の設計思想を持っている所が興味深い。燃料は純水素を使用し、35MPaの高圧タンクに搭載する。10・15モードで航続距離300km。

2002年当時のホンダFCXがカナダのバラード社製スタックを搭載し車両を発表したように、他自動車メーカーが燃料電池専門メーカー製のスタックを搭載する中、自社製スタックを搭載、技術力をアピールしたが、一般への認知度は低い。

その他、ボディーパネルの一部アルミ化や、リヤスポイラー・床下フラット等による空力特性の改善、フロンガスを使用しないCO2エアコンを搭載する等、新規技術を多数織り込んでいる。

燃料電池自動車の弱点である凍結の問題はクリアー出来ていない。

発表当時の張社長の「数億円はする」とのコメントから、コスト低減も重大な課題と認識されている。

[編集] 歴史

1996年10月:実験車FCHVを開発
1997年9月:メタノール改質器搭載型FCHVを開発
2001年3月:水素吸蔵合金タンク搭載型のFCHV-3を開発
2001年6月:高圧水素タンク搭載型のFCHV-4を開発、日米で公道走行試験を開始
2001年10月:液体燃料CHFから水素を取り出す改質型FCHV-5を開発
2002年12月:FCHV-4をベースとしたFCHVを発表
- 日本に４台（内閣府・経済産業省・国土交通省・環境省）、アメリカに２台（カリフォルニア大学アーバイン校、同デービス校）を限定リース開始
- 経済産業省の支援する「水素・燃料電池実証プロジェクト」(JHFC)に参加
2003年8月:地方自治体（愛知県・名古屋市）、民間企業（新日本石油・東京ガス・岩谷産業・東邦ガス）へ限定リース開始

[編集] 仕様

全長: 4735mm
全幅: 1815mm
全高: 1685mm
重量: 1860 kg
定員: 5人
最高速度: 155km/h

[編集] FCHV-BUS

乗用車タイプと並行して路線バス向けの"FCHV-BUS"も開発されている。日野自動車との共同開発で、ベース車はブルーリボンシティのノンステップバスを採用する。

試作型(FCHV-BUS1)

FCHVのコンポーネントをバスに搭載した試作車。燃料電池スタックは90kWのものを1基、電動機は80kWのものを2基搭載、水素タンクは25MPa・150リットルのものを屋根上の前部に5基搭載した。

初期型(FCHV-BUS2)

2002年の東京モーターショーで一般公開される。燃料電池スタックを2組に、水素タンクは充填圧力が35MPaに増強された。国土交通大臣認定を受けて2003年8月から2004年12月まで東京都交通局に1台が貸し出され、都営バス深川営業所の路線バスとして東16（東京駅～豊洲駅～東京ビッグサイト）と海01（門前仲町～豊洲駅～東京テレポート駅）を中心に運行された。

現行型

2005年日本国際博覧会（愛・地球博）の長久手会場と瀬戸会場を結ぶシャトルバスとして8台（実際には何らかの事情で9台）が製作された。各部のマイナーチェンジが施され、水素タンクは35MPa・150リットルのものを7基に増強して航続距離を確保、配管の短縮化のため屋根の中央部に搭載された。冷房ユニットが小型化された影響か固定窓を採用、空調効率を上げるため窓を特殊ラッピングフィルムで覆っている。

万博閉幕後は2006年3月に知多乗合に1台が貸し出されて知多半田駅～常滑駅間と中部国際空港島内の路線バスとして、7月には中部スカイサポートに2台が貸し出されて中部国際空港内のランプバスとして運行されている。