ニホンカモシカ
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?ニホンカモシカ | ||||||||||||||||||||||
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![]() サンディエゴ動物園にて |
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分類 | ||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||
Capricornis crispus | ||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||
ニホンカモシカ | ||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||
Japanese Serow |
ニホンカモシカ(日本羚羊)は、日本の中国地方を除く本州、四国、九州の低山帯から亜高山帯にかけて棲息するカモシカ。日本固有種。
目次 |
[編集] 由来
カモシカという名称は、昔その毛を氈(かも)と呼んでいたことによる。「氈鹿」のほかに「羚羊」という漢字を宛てることがあるが、同様に「羚羊」と書く「レイヨウ」(インド・アフリカに生息)は、ウシ科 レイヨウ亜科に属する別のグループである。
「アオジシ」などの別称をもつ。ちなみに、カモシカの汗は青色である。他に、ニク、クラシシなどの別名もある。
なお、カモシカの毛皮は、水を通さず、保温性も高いので、腰当てとしてはもっともよいという評価があったらしい。
[編集] 体形
頭胴長70~85cm、肩高70~75cm、体重30~45kg。ホンシュウジカなどのシカ類より小柄でずんぐりしており、四肢も首も太く短く、毛も長い(よって、しばしば用いられる「カモシカのような脚」という形容は、実際にはレイヨウなど他の動物のイメージとの混同によるものではないかとも言われる)。
角は黒色で先がとがっており、15センチほど。後ろ側にゆるやかに湾曲している。目の下のよく目立つ眼下腺をもち、ここから分泌液を出してマーキングをする。シカ科のシカ類はひづめがほっそりしていて、開けた場所を走るのに向いているのに対して、ニホンカモシカはひづめの先を広げて立つことができ、岩場など足場の悪い所での活動に向いている。
四国のニホンカモシカは体色が黒く、亜種と見る向きもあるが、生息数が少ないため、定かではない。
[編集] 習性
[編集] 行動
崖地を好み、犬に追われた場合など、崖に逃げる傾向が強い。好奇心が強く、人間を見に来ることもあると言う。
[編集] 食性
主に森林内の植物の葉を食べ、冬には冬芽や枝先の樹皮なども採食している。上側の歯がないので、枝先からこそぐように食べる。つまみ食いをするように少量食べて移動することを繰り返す。なお、シカは植物質なら樹幹の樹皮などでも食べ、一帯を食べつくすため植生に大きな影響をもたらすことが多い。 カモシカは葉もの野菜を食害することもあり、農業被害の一因になっている。
[編集] 糞塊
カモシカの糞はシカの糞とほぼ同じ形で、楕円形である。野外において、この両者を見分けるのは簡単ではない。一つの目安は、シカは糞を少数ずつ散布するが、カモシカは塊を作ることである。盛り上がった糞塊が作られていれば、カモシカの可能性が高い。これは、シカは、歩きながら糞をするのに対して、カモシカは、立ち止まって糞をする傾向があるからである。森下正明は糞塊からカモシカの個体数を推定するモデルを造った。
[編集] Status
LOWER RISK - Conservation Dependent (IUCN Red List Ver.2.3 (1994))
[編集] 保護
乱獲が進み3000頭まで減少したため1955年、特別天然記念物に指定された。新潟県笠堀の生息地は天然記念物に指定されている。中国地方では絶滅、四国、九州でも絶滅に近い状態となっている一方で、近年では個体数が増加し、生息域を平野部まで広げていることから、食害による林業や農業への被害が問題になっているところも多い。現在の生息数は7万頭から10万頭と推測されている