バラタナゴ
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バラタナゴ | ||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||
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亜種 | ||||||||||||||||||||
2種類(本文参照) | ||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||
Rosy bitterling |
バラタナゴ(薔薇鱮) Rhodeus ocellatus は、コイ目・コイ科・タナゴ亜科に属する淡水魚。
体長はメスが4cm-5 cmで、オスが5~8 cm。平らな体をもち、体高が高い。体は銀色だが虹色の光沢があり美しい。繁殖期のオスでは紫色や鮮紅色の光沢をもつ婚姻色に輝く。タナゴ類の中では個体数が多い種で、観賞魚として飼育されることもある。
日本の河川の中・下流域で比較的流れの穏やかなところや、用水路、湖や沼などの止水に広く分布する。食性は藻類などの植物食が中心。メスは産卵管を数 cm以上伸ばし、カラスガイ、ドブガイなどイシガイ科二枚貝の体内に産卵する習性がある。
もともと日本には、バラタナゴの亜種ニッポンバラタナゴが生息していたが、アジア大陸の亜種であるタイリクバラタナゴの移入に伴い亜種間での交雑が進み、純粋な日本亜種は絶滅に瀕している。タイリクバラタナゴは、第二次世界大戦中の1940年代前半、中国から食用になる大型魚(ソウギョ、ハクレンなど)を日本に導入する際、これに混ざって同時に運ばれたといわれる。20世紀後半には、琵琶湖のアユを各地に放流する際に、同時に分布域を広げていったとされる。
環境汚染のため、各地のバラタナゴの個体数は減少した。その後、各地にブラックバス、ブルーギルなどが増えると、バラタナゴはこれの餌になるため、減少し続けている。
[編集] 亜種
- ニッポンバラタナゴ R. o. kurumeus Jordan and Thompson, 1914
- 腹ビレが黒っぽいのが特徴。もとは中部地方以西の本州、四国、九州などでは普通種であった。タイリクバラタナゴの移入に伴い、純粋なニッポンバラタナゴの産地は各地に点在するのみとなっている。
- タイリクバラタナゴ R. o. ocellatus (Kner, 1866)
- ニッポンバラタナゴよりやや大きい。腹ビレの前端部に白い筋が入っているのが区別点。もとの生息地は、中国などの東アジア。日本でも北海道以外の各地に移入し、広く分布している。