バランス・スコアカード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
バランス・スコア・カード(BSC)は、1992年にロバート・S・キャプラン(ハーバートビジネススクール教授)とデビット・P・ノートン(コンサルタント会社社長)が「ハーバート・ビジネス・レヴュー」誌上に発表した業績評価システムで、新しい経営管理の概念である。ロバート・S・キャプランとデビット・P・ノートンは、「将来の企業における業績評価」という研究プロジェクトを通して、この概念を考案した。[キャプラン/ノートン;1997]
この概念は、従来の財務的指標中心の業績管理手法の欠点を補うものであり、戦略・ビジョンを4つの視点(財務の視点・顧客の視点・業務プロセスの視点・学習と成長の視点)で分類し、その企業の持つ戦略やビジョンと連鎖された財務的指標、及び非財務的指標を設定する必要がある。
尚、このバランス・スコア・カード(BSC)の概念は、業績評価システムから出発し、経営者情報システムとして発展した後、キャプラン/ノートンの最新著作においては、戦略的経営システムとして位置付けられている。[キャプラン/ノートン;2001]
[編集] 4つの視点
4つの視点とは、財務の視点、顧客の視点、業務プロセスの視点、学習と成長の視点であり、各視点ごとに目標、業績評価指標、ターゲット、具体的プログラムが設定される。
- 財務の視点:株主や従業員などの利害関係者の期待にこたえるため、企業業績として財務的に成功するためにどのように行動すべきかの指標を設定する。
- 顧客の視点:企業のビジョンを達成するために、顧客に対してどのように行動すべきかの指標を設定する。
- 業務プロセスの視点:財務的目標の達成や顧客満足度を向上させるために、優れた業務プロセスを構築するための指標を設定する。
- 学習と成長の視点:企業のビジョンを達成するために組織や個人として、どのように変化(改善)し能力向上を図るかの指標を設定する。
[編集] 参考文献
- ロバートS・キャプラン/デビットP・ノートン著 吉川武男訳『バランススコアカード【新しい経営指標による企業変革】』生産性出版 1997年11月 ISBN 978-4-8201-1620-2
- 松原恭志郎『バランス・スコアカード経営』日刊工業新聞社 2000年1月 ISBN 978-4-526-04500-4
- ロバートS・キャプラン/デビットP・ノートン著 櫻井通晴訳『戦略バランスト・スコアカード』東洋経済 2001年9月 ISBN 978-4-492-55432-6