ピタゴラスコンマ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ピタゴラスコンマ (英語:Pythagorean comma) は音楽用語の一つで、ピタゴラス音律が原理的にもつオクターブ関係との誤差である。ダイトニックコンマ (Ditonic comma) ともいう。 312 / 219 = 531441 / 524288 = 約23.46セント(半音の約1/4)。
ピタゴラス音律はある音から始まり、周波数を次々に3/2倍にしていき全ての半音を得る方法である。分子に現れる3は2(オクターブ関係を規定する)と素であるから、この操作を何回繰り返しても得られる値は2の冪乗倍にはならない。即ち、ピタゴラス音律のどの二つの音をとっても、正確なオクターブの関係は得られない。
ここで、12個の半音を得るために周波数を3/2倍する操作を12回繰り返すと、最後に得られる周波数は (3/2)12 ≈ 129.7 ≈ 128 = 27、即ち元の音の7オクターブ上の音より若干高い音になる。正確に何オクターブ高いかは、2を底にした対数をとれば判り、log2(3/2)12 ≈ 7.01955。セントで表すと7.01955 × 1200 = 8423.46である。つまり、7オクターブ高い音(8400セント高い)より約23.46セント高い。この差をピタゴラスコンマと呼ぶ。(実際にピタゴラス音律を生成する際は、オクターブを丸めるので、偶数回目は3/2倍ではなく3/4倍にする)