フォッカー Dr.I
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フォッカーDr.I(Fokker Dr.I)は、第一次世界大戦中の1917年に、ドイツ帝国のフォッカー社が製作した三枚翼の戦闘機で、かの撃墜王「レッドバロン」(赤い男爵)ことマンフレート・フォン・リヒトホーフェンも愛用していたことで知られる。
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[編集] 概要
フォッカー社の技術者プラッツが、当時開発中であった二枚翼の戦闘機フォッカーD.VIをイギリスが開発した三枚翼の戦闘機ソッピース トライプレーンの性能の高さに影響を受けて三枚翼に改造したのが「フォッカー Dr.I」である。最初の量産機では、翼の付け根に強度に不具合があり、その改修に時間にかかったが、コンパクトで翼のアスペクト比が大きく、運動性にや上昇力に優れた機体で、迎撃局地戦や特に格闘戦でその真価を発揮し、多くのドイツ軍のパイロットに愛され、かの撃墜王である「レッドバロン」ことリヒトホーフェンも機体を赤く塗って愛用した。
しかし、上昇力を強めるために付けた三枚の翼が原因で視界が悪く、着陸時には前が全く見えないほどであった。そして翼が多くなるほど空気抵抗が増し(主脚間にも翼があり、四枚翼に近い)、減速の原因になるという自然法則によって速度が敵機よりも遅くなった。
そういった基本欠陥によって生産機数は320機(1917年~1918年の間)と少なく、1918年の半ばに徐々に退役し始め、第一次世界大戦終結時には訓練機として残るのみだった。
[編集] 要目
- 初飛行:1917 年
- 乗員:1 人
- 全長:5.77 m
- 全幅:7.18 m
- 高さ:2.98 m
- 重量:586 kg
- 最高速度:165 km/h
- 失速速度:64 km/h
- 航続距離:200km
- 到達高度:4.3km
- 飛行時間:1.5 時間
- エンジン:110馬力1基
- 武装:スパンダウ7.9mm機関銃×2