フォトマスク
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フォトマスク(Photo Mask)とは、半導体素子製造過程で用いる原板。ガラス基板上に回路パターンが描画されて おり、主に光によって、半導体ウェハー上に塗布されたレジストにパターンを転写し、その後エッチングなどの工程を経てウェハー上に目的とするパターンを形成する。
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[編集] 概要
フォトマスクに使う基板は通常、石英ガラスが使用され、その上にクロムでパターンが作られる。 フォトマスクは製造しようとする素子の各層毎に作られる。 製造には電子ビーム露光装置などが用いられる。
半導体製造工程ではステッパーによりウェハー上を移動しながら露光され複数個の素子のパターンが転写される。ダイの大きさに応じて、2x2や3x3個分のパターンをマスク上に描画しておき、1ショットで転写できる素子数を増やすことで生産性を向上させている。 露光は1:1サイズであったが集積度の向上により、4~5倍のサイズで作られたマスクを縮小露光することが多くなった。
量産工程で用いられるマスクのより正しい用語はレチクルである。
[編集] 半導体の微細化とマスク価格の高騰
近年の半導体の微細化に伴い、マスク作成の技術も高い精度が求められ、同時にマスク作成のコストも増大している。 一般に一種類のチップを作るのに必要なレチクルの枚数は数十枚で、2004年の情報によれば、0.18umプロセスのマスクセットを製造するのに約3200万円、0.13umで約8000万円、90nmで1億8000万円にもなるといわれている[1]。1990年代の0.5umのマスクセットで数百万円オーダーだったのに比べ、指数関数的に増大している。今後の65nmやそれ以降のプロセスではさらに増大することが予想される。
また、コストの増大を避ける1つの方法として、1セットのマスクセットに、複数のチップを同時に載せ、コストを分担する方法もある。1ショットに複数の異なるチップが転写されるため、周期的な模様からピザマスクと呼ばれる。 しかしこの場合、量産時にはそのマスクではチップ単価が高くなり使えないため、TEGや試作といった用途に限られる。 また、複数のプロジェクトで乗り合いの形になるため、期日が限定されているシャトルウエハーという形態をとる。
[編集] 主なメーカー
- 大日本印刷
- 凸版印刷
- HOYA
- デュポン
- SKエレクトロニクス
- ミタニマイクロニクス