プリントゴッコ
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プリントゴッコは理想科学工業が1977年から発売している、家庭用小型印刷器具のブランドである。
[編集] 原理
プリントゴッコの原理はインクが原稿フィルムの細かい穴から染み出る「孔版印刷」で、基本的にはシルクスクリーンを半自動化したものである。原稿をカーボンを含む筆記具で作成して器具に装着し、専用フィルムに密着させてフラッシュランプの熱で熱転写する。感応した部分に同製品純正のチューブ式インクを原稿に盛り、再び器具に装着して一枚ずつ用紙に押し当てることで印刷する。 少ない枚数でも安価に自由な印刷が出来ることもあり、年賀状や暑中(残暑)見舞いを中心にしたメッセージカードの作成器具の代名詞として幅広く用いられた。カーボンを含んだ印刷を施して直接原稿に使えるように配慮された素材集も多数出版された。また、原理的にはフルカラー印刷はできないが、三原色に分解した網点原稿を3つ重ねて印刷することで擬似的にカラー印刷を実現する素材集も発売された。応用製品として、簡易スタンプ作成キットや、布印刷に対応したキットなどもある。
[編集] パソコン普及後の製品
プリントゴッコは1994年頃をピーク時に広く日本の一般家庭に普及していたが、低価格化・高画質化・年賀状作成ソフトの普及によって環境の整ったパソコンとインクジェットプリンタに、市場を急速に奪われた。印刷速度や印刷コストではインクジェットプリンタに見劣りするものではないが、インクジェットプリンタで作成した原稿はカーボンを含まず、そのままプリントゴッコの原稿にはできないことなど、親和性の低さもあったといえる。
理想科学工業は2003年に「プリントゴッコjet」を発売した。小型スキャナー、メモリーカードリーダー、インクジェットプリンタ、液晶画面を内蔵した印刷機械で、原稿作成が容易で手軽にカードが印刷できる点は共通しているものの、従来のプリントゴッコとは全く異なる完全なコンピュータ機器である。