プレスライダー
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プレスライダーとは、新聞社やテレビ局などの依頼を受けて、原稿・写真フィルム・ビデオテープなどを急送するオートバイのライダー、およびその職種・業務を総称して呼ぶ言葉である。
以前は、報道目的のテキスト・画像・動画などは、原稿・フイルム・ビデオテープなどの現物を輸送するしか手段がなかった。その輸送手段として、伝書鳩にかわるものとしてオートバイが登場し、(ヘリコプターなどと比べて)手軽で、(自動車や鉄道などと比べて)早く、(伝書鳩と比べて)確実なものとして活用されるようになった。一刻を争うものを輸送するため、公道を安全に速く走れるウデを持つ熟達のライダーだけがプレスライダーになることができた。速度制限違反なども日常茶飯事とされたが、報道という公益目的であることなどから、あまり問題視されることはなかった。また、プレスライダーは、プレスライダーの証として、オートバイに依頼を受けた報道機関の旗を掲げていることが多く、他社のプレスライダーとの間では熾烈な競争が繰り広げられたこともあった。 こういった情報輸送の元祖とも言われるのが、ナポレオン敗戦を伝えた早馬便などがそれである。
その後、オンラインによる送稿が可能となった事や、ファックス・インターネット・マイクロウェーブ中継などの技術革新により、原稿・フイルム・ビデオテープの輸送目的はピーク時に比べ減退傾向にある。
また、単なる運び屋以外に、被取材者の追っかけ、張り込み、場合によっては撮影などを行う場合もある。
なお、プレスライダーの衰退とほぼシンクロして、バイク便が登場し、一般化している。急ぎのものの輸送という意味では共通項もあるが、「報道目的という限られたものではなく一般的な輸送を行うため、携わる人数が多く、プレスライダーほど粒ぞろいではない」「公益目的という言い訳が成立しないため、その時として暴走的な走り方が批判を受けている」など、新たな問題も生じている。