ボルダリング
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ボルダリング(Bouldering)とは、フリークライミングの一種で2mから4m程度の岩や石を確保無しで登るスポーツである。
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[編集] 歴史
元々はロープを使用したフリークライミングの練習的な位置づけであったボルダリングだが、クライミングから確保という要素が取り除かれ、より純粋に岩を登る事に集中できる。また必要な装備が少なく手軽にはじめられる事からも、ボルダリングを中心に行うクライマーが増えており、現在では独立したフリークライミングの一形態となっている。
[編集] グレード
ボルダリングの課題の難度を示す為に、課題に対しグレードが付けられる。ただグレードは定める者の主観にて決まるので常に賛否が付きまとい、そのエリア内の一応の目安ぐらいの位置づけとなっているのが現状である。
国内では、草野俊達によって発案された「級段方式」が現在では一般的である。小川山の「エイハブ船長」(1級)、御岳の「忍者返し」(1級)の2つの課題がグレード体系の基準であるとされている。初心者は8~7級ぐらいから入り、初段あたりから上級の部類に入る。
段級グレードは各グレードにおける難度の幅が広いことが特徴であり、「やさしめの初段」や「むずかしめの初段」といわれる課題が存在する。近年ではよりグレーディングを明確にするために+や-をつけて標記されることもある。
海外でよく用いられているものとしてはアメリカのVシステム、フランスのフォンテーヌブローシステムなどがある。グレード間の換算表が発表されることもあるが、グレード自体のばらつきと同様に一応の目安くらいにしかならない。
[編集] エリア
[編集] 国内
国内では多雨で深い渓谷内にボルダリングのエリアが多く存在する。また小川山や北山公園の様な山中に散在する露岩を登る場合もある。
渓谷の場合、地域の水源となっている場所もあり、利用に関してはゴミの持ち帰り、糞尿をしない等の注意が必要となる。また山中において御神体となっている場合や、個人の私有地となっている場合も有り配慮が必要とされている。
- 北海道
- アヨロ、モッタ、望岳台、増毛、赤岩青巌峡
- 関東
- 御岳渓谷、鷹取山、笠間、三峰
- 中部
- 小川山、豊田
- 近畿
- 御手洗峡、笠置、北山公園、摂津峡
- 四国
- 鳴滝、日御子
- 九州
- 河頭山、平尾台、耶馬渓、宮崎北部(祝子川、綱の瀬川など大河川の上流や大きな支流の河原)、去川、内大臣峡、阿蘇一の峰、水俣、金峰山、藺牟田池外輪山、猿ヶ城渓谷、根占
[編集] 国外
- Fontainebleau(France)
- Yosemite(USA)
- Bishop(USA)
- Castle Hill(New Zealand)
[編集] クラッシュパッドと安全対策
墜落時の安全の為にクラッシュパッドという、携帯式のマットを使用する。 クライミング用シューズは、歩く事を前提としていないので、足のアーチの機能が由々しく限定され、緩衝材も靴底に無い為、墜落時に踵などを負傷する危険性がある。 クラッシュパッドの使用により踵や腰への負傷を予防する事ができ、特に前倒壁においては墜落時における背中や頭部への直撃を防ぐ事ができる。 クラッシュパッドは携帯性を重視している為に墜落時の衝撃を吸収するまでの機能は無く、あくまで怪我防止の為の補助具として使用する。
複数人でボルダリングを行う場合、スポッターと呼ばれる補助を行う者が付くことがある。スポッターは墜落時に肩を押す事で、頭部からの墜落を防ぐ行為を行う。また傾斜地ではクラッシュパッドごと滑り落ちない様に支える事もある。 スポッターとしては、登攀中はクライマーに触れない、墜落時に自らが下敷きにならない、などの注意が必要となる。 複数人でボルダリングを行うことにより、前記のようなスポッターによる補助のほか、各自が持ち寄ったクラッシュパッドを重ねることなどによる安全性の向上が期待できる。
ボルダリングでの墜落は、地面まで落ちる事が前提で有るが、落ちる前にみずから飛び降りる事で墜落時の体勢を立て直し危険を回避する事ができる。墜落する直前に、指へ負荷がかかり負傷する場合(パキルと表現する)も有るが、これもみずから飛び降りる事で回避できる。
[編集] ボルダリング競技
日本で有名なボルダリングの競技会としてはB-Sessionが有る。B-Sessionは1年間を通じてのシリーズ戦を行いその総合ポイントで年間チャンピオンを選出する。勝敗はクリアーした課題の数で順位を決定する。競技はインドアクライミングで行われ、毎回競技用に毎回課題を設定して初登にて競われる。
[編集] 過去の年間チャンピオン
[編集] B-Session
- 2000年 山崎岳彦、大岩あき子
- 2001年 山崎岳彦、岩田千鶴代
- 2002年 丸木太、岩田千鶴代
- 2003年 宮保雄一、野口啓代
- 2004-2005年 渡辺数馬、外河有紀子(年度移行のため、2004年は2005年に合算)
- 2006年 渡辺数馬、野口啓代
[編集] Japan Cup
- 2005年 第1回ボルダリングジャパンカップ
- 男子 優勝 茂垣敬太,2位松島暁人,3位平山ユージ
- 女子 優勝 野口啓代,2位田井千香,3位熊谷典子
- 2006年 第2回ボルダリングジャパンカップ
- 男子 優勝 村岡達哉,2位松島暁人,3位茂垣敬太
- 女子 優勝 野口啓代,2位尾川智子,3位萩原亜咲