ポリアセタール
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ポリアセタール (polyacetal, polyoxymethylene) とは、オキシメチレン (oxymethylene, −CH2O−) 構造を単位構造にもつポリマーであり、略号はPOMである。1,3,5-トリオキサン(メタホルムアルデヒド)と同様に、ホルムアルデヒドの重合体であるが、ホルムアルデヒドのみが重合したホモポリマー([−CH2O−]n、パラホルムアルデヒド、均質重合体)と、~10モル% ほどオキシエチレン単位 (oxymethylene, −CH2CH2O−) を含むコポリマー ([−CH2O−]n[−CH2CH2O−]m、共重合体) の双方の製品があり、両者ともポリアセタール、またはアセタール樹脂と呼ばれる。
ホモポリマーは精製されたホルムアルデヒドより触媒存在下、アニオン重合により合成する。一方、コポリマーは 1,3,5-トリオキサンとエチレンオキシドあるいは 1,3-ジオキソランの混合物に、三フッ化ホウ素などカチオン開始剤を添加したカチオン重合により合成する。
重合反応の性格上、ポリマー末端はオキシメタノール構造 (−OCH2OH) となるが末端がアルコールのままであると融点以上で容易に熱分解(解重合)するので、通常は無水酢酸を用いたアセチル化などのエンドキャップ処理などが施され、熱安定性が改善されている。
ポリアセタールは非晶部分と結晶部分が混在するために、強度、弾性率、耐衝撃性に優れたエンジニアリング・プラスチックである。また摺動特性に優れている為、軸受け部品としても利用されている。
市販されているポリアセタールの例として、デュポン社のデルリン(ホモポリマー)とポリプラスチックス社のジュラコン(コポリマー)が挙げられる。
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