ポリス・ストーリー2/九龍の眼
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「ポリス・ストーリー2/九龍の眼(クーロンズ・アイ)」(原題:警察故事続集)は1988年に日本で公開された、ジャッキー・チェン主演のアクション映画。原題から分かるとおり『警察故事(日本題:ポリスストーリー香港国際警察)』の続編であり、1作目に物語が連結しているが、日本劇場公開時の題は『九龍の眼(クーロンズ・アイ)』だけで、ポリスストーリーの続編というニュースソースは扱われなかった。
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[編集] 概要
爆弾を使用した凶悪犯グループと警察の死闘を描いたシリーズ第2弾。序盤は前作の仇役チュウや部下たちが繰り広げる復讐の物語が展開するが、中盤から、爆弾テロを楯に巨額の金を要求する凶悪犯の物語へと展開がシフトする。物語の中盤辺りにメイがチャンに宛てた手紙の内容を悪者に読まれるシーンはなんとも言えない。とくに終盤辺りに花火工場で爆弾犯と乱闘するシーンは恋人のメイも一緒に戦うなど1作目よりエンターテインメント性が強くなった作品。
最大の仇役として登場する聾唖の男性に扮するのはジャッキー・チェンのスタントマンチーム『成龍班』のスタント・コーディネーター、ベニー・ライ。後年の作品「酔拳2」のロー・ワイコンや「ゴージャス」のアランら『足技の強い仇役』の先駆けとしてスピーディで華麗な足技を見せ、クライマックスの激闘を盛り上げた。
[編集] ストーリー
暴力団チュウ・タオの逮捕で功績をあげたはずのチェン・カクー刑事(ジャッキーチェン)だったが、署長(ラム・コックン)や上司の(トン・ピョウ)からは、祝辞どころか逮捕の課程でスラム街やデパートを破壊したことを咎められ、結局交通課へ異動となった。だが病気を理由にチュウは釈放され、チェンと恋人メイらに陰湿な嫌がらせを始める。さらにチェンとメイは、チェンの激務のせいですれ違いが続き、次第に険悪な仲になってしまう。
そんな折り、デパートに爆破予告の電話があった。偶然居合わせたチェンは避難ベルを鳴らし客を外に出したが、いたずらと思われ全員が帰ろうとした矢先、デパートが爆破された。それは、これから起こる最大の事件の序章に過ぎなかった。
[編集] バージョン違い
本作は公開地域によって編集違いが存在する。オリジナル版(香港公開版)では105分のバージョンであったが、日本公開版は121分と、2時間を超える尺となっていた。なお現在本作は香港フォーチュンスター社が製作した121分版のマスターを使用したDVDが発売されているが、エンドロールのNG集は日本公開版とは異なる。
[編集] 幻の初期版
本作はもともと完成版とは相当に異なる内容の脚本であり、撮影もほぼ済んでいたものの、ラッシュを見たジャッキーがストーリーの弱さに危惧し、途中で脚本を全面的に改定、大幅な録り直しとなったという曰くつきの作品。前作から連投の暴力団一味の復讐物語が唐突に終わってしまい、爆弾魔を主体とした別のストーリーに切り替わっているのはその名残と言われる。
また日本でも撮影当時(1987年)の映画雑誌には、完成版とは大きく異なる展開のあらすじ(爆弾魔の親玉が例の暴力団組長チュウ・タオとなっている)が紹介されている他、完成版には全く登場していない女優エミリー・チュウが『本作のヒロイン』として紹介されており、彼女とジャッキーらによる幻の本編カット及び初期の報道用スチール等が数多く掲載されている。エミリーは「ジャッキー扮するカクー刑事をうまく騙して極秘捜査をすっぱ抜いたものの、事件に首を突っ込みすぎたために危機に見舞われる記者」という役回りで、前作のブリジット・リンに代わる第2のヒロインという立場だったが、結局ストーリーが全面改定となった際に彼女の存在は完全に消滅してしまい、本来なら主演級であった彼女は、完成作品には1カットも登場していない。
また、一部の海外メディアでは、さらに異なる内容で撮影され、ほぼ完成していたと言われる「さらに別のバージョン」が存在していたと報道されており(こちらは警察内部に黒幕がいるという内容)、製作現場の混乱が伺える。
[編集] 出演
- チェン・カクー:ジャッキー・チェン
- メイ:マギー・チャン
- チョウ:トン・ピョウ
- レイモンド:ラム・コーホン
- ミス・コオ:クリスタル・コオ
- タオ:チュウ・ヤン
- キム:マース
[編集] スタッフ
- 監督/主演/原案/アクション監修/主題歌:ジャッキー・チェン
- 製作総指揮:レイモンド・チョウ/レナード・ホウ
- 製作担当:ウィリー・チェン
- 製作:エドワード・タン
- 音楽:マイケル・ライ
- 武術指導クルー:ジャッキー・チェンスタントチーム