マイコプラズマ
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マイコプラズマは、真正細菌であるがペプチドグリカン細胞壁を欠いており、この点でほかの原核生物と区別がなされる。 細胞壁を欠いている特性上、細胞の形は不定形で可塑性がある。 一方、細胞膜は原核生物のそれに比べて強度が高い。 ゲノムサイズが極めて小さく(55万塩基対程度)、大半が合成培地で増殖できず、たいていの場合は多くの成長因子を要求する。
[編集] 分布
Mycoplasma属の多くは動物に寄生し、病原菌となる場合が多い。 関節症をはじめ、肺炎などの原因となる。
[編集] コンタミネーション
細胞の形状に可塑性があるため、0.22μmフィルターを通過する。 そのため、細胞培養に用いる培地は、ろ過滅菌してもしばしばマイコプラズマによるコンタミネーション(汚染)が見られることが多い。
マイコプラズマのコンタミネーションによる影響としては、培地の栄養の消費による培養細胞の成長阻害の他、マイコプラズマの直接の作用による代謝経路への影響や、遺伝子発現への影響が確認されている。 そのため、細胞を用いた実験結果の正しい評価のためには、マイコプラズマのコンタミネーションがないことを確認する必要がある。
検出のためのゴールドスタンダードは培養法であるが、PCR法やEIA法でも検出が可能である。 培養法は種の同定や検出率で優れているが、結果が得られるまでに時間がかかる、種の同定には熟練が必要である、という欠点がある。 一方PCR法やEIA法はその日の内に結果を得ることも可能であるが、特定の種しか検出できない。 最近ではマイコプラズマの酵素を利用したMycoAlertのような一時間以内での測定が可能な製品もできてきており、検出をルーチンで行うことも簡単になってきた。