マダガスカル島
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マダガスカル島 (Madagascar Island) は、アフリカ大陸の南東、インド洋西部に位置する世界第4位の面積を持つ島。現在は、全域がマダガスカル共和国の領土となっている。
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[編集] 概要
島の面積は、587,041km²で、島の広さはボルネオ島に次ぎ、世界第4位である。島は南北方向に長く約1600kmで、東西方向で約570km。一番近い大陸であるアフリカ大陸までは、モザンビーク海峡によって隔てられており、その距離は約400kmである。
[編集] 島の形成
島の形成に関しては諸説あるが、もともとがゴンドワナ大陸の一部でありモザンビーク造山帯の造山の影響も受けて現在の形になったという説が有力である。この説によれば、現在のインドとアフリカ大陸に挟まれていた部分が、大陸移動の影響により約8000万年前に分離したと考えらる。
19世紀半ば、イギリスの動物学者スクレーターがキツネザルが、マダガスカル島から5000kmも離れたスマトラ島やスリランカに生息しているにも拘らず、アフリカ大陸に居ないことに気が付いた。彼は、マダガスカルがもともとはインドやスリランカなどと陸続きの1つの大陸であったと考え、この大陸のことをレムリア大陸と名づけた。レムリアは、キツネザルのレムールから取ったものである。
[編集] 地形と地質
マダガスカル島は、南北に走る中央高原と、東側および西側の平原の三つに分けることができる。中央高原は、2,000m級の山々が存在し、高原で最も高いチャファジャボナは、標高2,643mである。マダガスカルの最高峰は、マルムクトルで標高2,876mである。
地質としては先カンブリア期に形成された花崗岩が土台となっている。またサファイアなどの希少鉱物やアンモナイトの化石などが多く発掘される。
[編集] 気候
大まかに区分すると、マダガスカル全土は熱帯に属する。しかし島の中央に位置する高原が風を遮るため、島の東部、中央部、西部で大きく異なる。
冬の間(5月から9月)は島の南東から貿易風が吹き込み、島の東側は降水量が増える。一方で西側は逆に降水がほとんどない。
夏の間(10月から4月)は、アフリカ大陸からの季節風が強くなり、島の西側の降水量が比較的増え、東側は乾燥する。
中央高原は、熱帯山岳気候の特徴を示している。マダガスカルの首都、アンタナナリボは、標高1800mを越えており、南回帰線より赤道側にあるにもかかわらず冬の間10度を下回ることも珍しくない。
島の東部は、年間の降水量が2000mmから多いところでは3500mmにのぼる。一方、島の西側は乾季と雨季の差が大きく、東側に比べて降水量は少ない。特に西側では南に進むほど降水量は少くなる傾向があり、島北西部では降水量が約1500mmであるが、島南西部では年間500mm程度の場所もある。また、島の北部にはサイクロンの襲来がある。
[編集] 自然
[編集] 哺乳類
マダガスカル島に住む哺乳類動物は極めてユニークである。哺乳類では、真猿類のサルは存在せず、原猿類のみが生息している。世界最小の霊長類であるコビトキツネザル、インドリ、シファカ、キツネザルなどで、その種は、全原猿類のうち3/4がマダガスカル固有種といわれるほどである。
[編集] 爬虫類
爬虫類は、300種を超えるものが確認されている。カメレオンの生息地としては世界でも有数であり、その他にもカメ、ヤモリなど数多くの固有種をみることができる。一方で、島内には毒を持つヘビは存在しない。
[編集] 鳥類
鳥類は約200種が確認されており、そのうちの約半数がマダガスカル固有種である。
地球上で最も大きい鳥類に属するエピオルニス(『アラビアンナイト』に登場する怪鳥ロックのモデルとなった)がマダガスカルのみに生息していた。しかし、マダガスカルの人口が増えると、住民の乱獲や環境破壊により19世紀初め頃に全滅している。
[編集] 植物
マダガスカル島には約6000種の植物が確認されており、そのうち約4000種が樹木、その植生も独特である。とくにバオバブは世界で8種類が確認されているが、そのうち6種類がマダガスカル島だけの固有種である。
川の河口付近には、マングローブの森が多く見られる。一方で、島の南西の乾燥地帯には、サボテンのような棘(とげ)を持つ草木の森が広がっている。