ムクドリ
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ムクドリ | ||||||||||||||||
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![]() 番い形成期。左がオス、右がメス。 (2005年02月28日撮影) |
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分類 | ||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||
Sturnus cineraceus Temminck, 1835 |
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英名 | ||||||||||||||||
White-cheeked Starling |
ムクドリ(椋鳥、学名Sturnus cineraceus)はスズメ目ムクドリ科の鳥。英名は White-cheeked Starling または Gray Starling。
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[編集] 特徴
体長 24cm ほどで、スズメとハトの中間ほど、ヒヨドリより一回り小さい程度の大きさ。翼と胸、首は茶褐色で、首から頭にかけてと腰に白い部分が混じり、足と嘴は黄色い。
なお、雄は胸や腹などが黒っぽく、雌は褐色に近い。また若鳥は雌以上に色が薄い傾向がある。
[編集] 分布
東アジア(中国、モンゴル、ロシア東南部、朝鮮半島、日本)に分布する。
日本国内ではほぼ全域に分布する留鳥で、北部のものは冬場は暖地へ移動する。 低山から低地にかけて広く生息し、都市部などの人家付近や田畑などでもよく見られる。
[編集] 生態
雑食性で、植物の種子や果物、虫の幼虫などを好んで食べる。地面に降りて歩いて虫などを探すこともあれば、木の枝に留まってカキなどの熟した実をついばむ様子も観察される。椋の木の実を好んで食べるため「椋鳥」と呼ばれるようになったと言われているが、これに限らず幅広く食べている。
繁殖期は春から夏で、番いで分散し、木の洞や人家の軒先などの穴に巣を作る。両親ともに子育てを行い、とくに育雛期には両親が揃って出掛け、食糧を探して仲良さげに歩き回る様子が観察され、ほほえましい。
繁殖期は巣で寝るが、ヒナが巣立つと親子ともに集まって群れを形成するようになり、夜は一か所に集まってねぐらを形成する。ねぐらには 10km 以上の範囲から集まり、冬は数万羽の大群となることもある。かつては河原の広葉樹や人家の竹やぶに集まっていたが、近年では都市部の街路樹などにねぐらをとる例も増えている。
鳴き声は「ギャーギャー」「ギュルギュル」など。都市部などでも群れを成して生活するため、その鳴き声を騒音だと感じる人もいる。転じて椋鳥は街に出てきた田舎者を指す。
[編集] Sibley分類体系上の位置
Sibley-Ahlquist鳥類分類 |
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ヒタキ上科 Muscicapoidea
ムクドリ科 Sturnidae
ムクドリ族 Sturnini
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[編集] 人間との関係
鳴き声による騒音や糞害などが、しばしば問題になる。新潟県長岡市ではJR長岡駅前の街路樹にムクドリの大群が発生し問題となっていたが、捕獲したムクドリの鳴き声を収録し大音量で流すことでムクドリは去っていった。この成功例から全国の自治体から問い合わせが相次ぎ、この鳴き声を収録したカセットテープ・CDを各地に配布したところ、各地でもムクドリを立ち去らせることに成功した。しかし、ムクドリの数そのものが減少した訳ではないため、今まで被害の出ていなかった別の街路樹で被害が発生するなど、「単に少し移動しただけ」という問題もある。なお、鳴き声からか、大きな音により立ち去ったのかは検証されていない。
また、果物を好んで食べるため、果樹園に被害を与えるとして駆除されることもある。