メグロ
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メグロ | ||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||
Apalopteron familiare (Kittlitz, 1830) |
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英名 | ||||||||||||||||
Bonin White-eye |
メグロ(目黒、学名Apalopteron familiare)は、小笠原諸島に生息するスズメ目メジロ科の鳥。
和名の由来はその特徴的な眼の周りの逆三角形の黒い模様から。
目次 |
[編集] 分布
現在は亜種のハハジマメグロのみが、小笠原諸島の中でも母島列島にのみ生息している。貴重な鳥であり特別天然記念物に指定されている。
[編集] 特徴
大きさはスズメ大。眼の周囲を細く帯状に白い羽毛が取り巻いており、その外側を命名の由来にもなった逆三角形状の黒い模様が囲んでいる。頭部及び背面は灰緑色で、喉から腹面にかけては鮮やかな黄色。嘴は黒い。
滅多に鳴かないが、繁殖期の日の出直前には頻繁に囀る。
[編集] 生態
森林が主なすみかだが、繁殖期は人家のある集落周辺にもよく出没する。
エサは液果、特に小笠原諸島にも多数自生している熟したパパイヤを好むが、実態は雑食性で昆虫やヤモリなどの爬虫類も捕食する。採餌場所は特に決まっておらず、樹上や地上などどこでも採餌する。
母島では外来種であるアカギの実を主食にしているらしく、他の母島列島(妹島、向島)の個体数が年々減少しているのに対して、同種が猛威を振るっている母島での個体数は比較的安定しており、しかもフンに含まれた同種の種子が発芽することで、本種が同種の分布拡散を手助けしている。また父島母島で爆発的に個体数を増やしているグリーンアノールがとくに繁殖期における本種の主要なエサとなっている事実もある。このように本種をめぐっては生態系に組み込まれた外来種が固有種を支えているという、なんとも皮肉な現実がある。
4月以降にヒナを孵し、ヒナの巣立ち後余裕のあるつがいは7-8月にも産卵育趨を行う。なお巣立ち後の幼鳥はその年には繁殖を行わず、翌年の4月以降に繁殖する。9月になると群れを形成し山奥へ移動する。
夜にはつがいが寄り添って眠るという、なんとも微笑ましい習性(接触就眠)がある。なお同様の習性はメジロなどにも見られる。
[編集] 分類
古典的な分類ではミツスイ科に属することが多い(分類ボックス参照)。 しかし類縁関係では以前から論議があり、ミツスイ科以外にも、ヒヨドリ科、チメドリ科に分類する説もあった。近年のDNA解析の結果、メジロ科とされた。Wikipedia英語版でもメジロ科に分類されている。
[編集] Sibley分類体系上の位置
Sibley-Ahlquist鳥類分類 |
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[編集] 亜種
かつては聟島列島にも亜種であるムコジマメグロが生息していたが、1930年を最期に、その後調査のあった1968年以降は確認されていないため、絶滅したと考えられている。
ムコジマメグロはハハジマメグロよりやや小型である点以外、異なる点はほとんど見られない。生態等については不明なまま絶滅したのでわかっていないが、ハハジマメグロのそれに類したと見られている。なおキトリッツが最初に報告したメグロの基亜種はこのムコジマメグロである。
- A. f. familiare, ムコジマメグロ
- A. f. hahasima, ハハジマメグロ
[編集] Status
VULNERABLE(IUCN Red List Ver.3.1(2001))
[編集] 亜種
- ハハジマメグロ, Apalopteron familiare hahasima
- 絶滅危惧IB類(EN)(環境省レッドリスト)
- 絶滅危惧IB類(EN)(環境省レッドリスト)
[編集] 外部リンク
- BirdLife International 2004. Apalopteron familiare 2006 IUCN Red List of Threatened Species.
[編集] references
- ^ Apalopteron familiare (Species Factsheet by BirdLife International) - 2006年12月の環境省レッドリストの結果をまだ反映していない。
- ^ 日本固有種のため、国内絶滅は種の絶滅である。
- ^ Apalopteron familiare (環境省絶滅危惧種情報 by 生物多様性情報システム J-IBIS)
- ^ 環境省レッドリスト2006年版(2006年(平成18年)12月22日公表)にて準絶滅危惧(VU)から絶滅危惧ⅠB類(EN)にランクが変更された。鳥類、爬虫類、両生類及びその他無脊椎動物のレッドリストの見直し(環境省)