ヤジュル・ヴェーダ
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ヤジュル・ヴェーダ (yajurveda यजुर्वेद)とは、バラモン教の聖典であるヴェーダの一つ。 祭式において唱えられるヤジュス(yajus 『祭詞』)を収録したもの。因みにyajurとはyajusの音便である。 祭式において行作を担当するアドヴァリユ祭官(adhvaryu)によって護持されてきた。
ヤジュスとは、祭式の効力が現れる事を祈って、神格や祭具、供物などに一定の行作と共に呼びかける言葉で、多くは散文で書かれている。
成立年代は、紀元前800年を中心とする数百年間と推定されている。 伝承によれば、かつては86あるいは101の流派に分かれて伝承されていたというが、現存するのはこのうちの数種である。
ヤジュル・ヴェーダはまた、その形式によって黒ヤジュル・ヴェーダ(kRSNayajurveda)と白ヤジュル・ヴェーダ(zuklayajurveda)の2種に大別される。
黒ヤジュル・ヴェーダは、一つの文献の中に、本文であるサンヒター(saMhitaa)とその注釈・解説であるブラーフマナ(braahmaNa)が混在している。 一方白ヤジュル・ヴェーダは、サンヒターとブラーフマナが分離してそれぞれ独立した文献となっている。そのため、黒ヤジュル・ヴェーダは白ヤジュル・ヴェーダよりも古く成立したと考えられている。