ヤー・ブルース
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ヤー・ブルース(Yer Blues)は、1968年に発表されたアルバム『ザ・ビートルズ』、通称ホワイト・アルバムに収録された曲のひとつでジョン・レノン作の公式発表曲唯一のブルース・ソング。
1968年頃、イギリスのポップス界ではブルース・ソングが流行し、デビュー以来ロック一辺倒だったバンドまでもがブルース・ソングを発表してひと稼ぎするなどというケースも出たほどだが、根っからのロック野郎であるジョンはこの状況を嫌い、皮肉の意味を込めて作ったという。また、この曲のくだりには「ミスター・ジョーンズ」という人名が出るが、これはボブ・ディランの曲「やせっぽっちのバラード」に登場する時代遅れのキャラクターで、ディランの曲に出てくる人名を拝借することによってディランを皮肉っているのだとされる。
ビートルズ研究の第一人者香月利一によると、ジョンは、以前ディランが自身の曲の一節を拝借されたことに対し「仏の顔も3度」という曲でジョンを非難したのに腹を立て、この曲で反撃を行った、という。ジョンがディランと不仲になっていた過程を表した曲といってもいい。ちなみにジョンは完全ソロ第1作アルバム『ジョンの魂』の収録曲「ゴッド」の中で「ディラン(歌詞では本名のジンマーマン)だって信じない」と攻撃して完全決別している。
ローリング・ストーンズが1968年に収録したTVショウ「ロックン・ロール・サーカス」ではザ・ダーティ・マックのグループ名でジョン、エリック・クラプトン、キース・リチャーズがこの曲を演奏している。