ヨハネ文書
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ヨハネ文書とは、新約聖書中の『ヨハネによる福音書』と3つのヨハネ書簡(『ヨハネの手紙一』、『ヨハネの手紙二』、『ヨハネの手紙三』)、および『ヨハネの黙示録』の5つの文書を言う。しかし現在では『黙示録』は除外し、四文書のみを指すことの方が多い。これは、『黙示録』のギリシア語表現が他文書とは明らかに異質であるという古代からも知られていた事実と、思想的にも大きな違いがあるとの認識による。
[編集] ヨハネ文書の著者
『ヨハネの黙示録』が序文でヨハネを名乗っているほかは、これらの本文中に著者の名前は記載されていない。伝統的にこれらの文書はいずれも使徒ヨハネに由来するものとされてきた。しかし、使徒ヨハネ自身がすべてを書いたと考えられていたわけでもない。すでに伝承も、『ヨハネの福音書』は口述によるもので弟子プロクルスの筆耕になると考えていた。
4-5世紀の神学者ヒエロニムスらは、使徒ヨハネとは別人の長老ヨハネが『ヨハネの手紙二』と『ヨハネの手紙三』を書いたとの見解を示した。
また、『ヨハネの黙示録』の正統性も長く議論になってきた。『ヨハネの黙示録』は他のヨハネ文書と文体上の特徴を共有しないため、筆者を異にする可能性は、筆者を同一とする見方とともに長く古代教会のなかに存し、両陣営の間にたびたび議論が行われた。エウセビウスは『教会史』に「使徒ヨハネとは異なる別のヨハネ」を黙示録の筆者とする議論を収録している。
今日の聖書学の大勢は、ヨハネ文書のいずれも使徒ヨハネ自身が書いたものでは無いと考えている。しかし、それぞれの著者の帰着は議論の一致を見ていない。
3人の着者を想定する例を挙げる。
- 『ヨハネによる福音書』と『ヨハネの手紙一』の着者
- 『ヨハネの手紙二』と『ヨハネの手紙三』の着者
- 『ヨハネの黙示録』の着者
『ヨハネによる福音書』は原作者のほかに大きな加筆、編集を加えたものとして、これだけで3人の記者を想定する説もある。詳しくは『ヨハネによる福音書』の項を参照のこと。
それぞれの著者が誰であるかはともかく、これら文書の思想的な共通点から、キリスト教団内の一定のグループがこれらヨハネ文書を作り出したとする考え方が主流である。このグループをヨハネ教団と呼ぶ。
『ヨハネの黙示録』に限っては、他と異なる終末思想を提示しているとの指摘がある。
[編集] 関連項目
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