ラーチャー
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ラーチャーはサイトハウンド内もしくはその他のブリードのクロスブリードの犬である。よってラーチャーはブリードではなく、犬のタイプであり、多くのラーチャーはグレイハウンドの血を引いている。イギリスとアイルランド産で、それ以外の国で見ることは珍しい。
その昔、純血種のグレイハウンド、サルーキ、ウィペット、ボルゾイ、アフガン・ハウンド、アイリッシュ・ウルフハウンド、ディアハウンドは貴族だけが所有を許された。そこで一般の者がさらに効率のよい狩猟を密猟として行うためにラーチャーは発達した。
18世紀に、勇敢で毛が短く、躾がよく入り、狡猾で脚が速く、ハンティングにぴったりな野獣がいた。それこそが古き日のラーチャーであったと信じられている。また世界大戦中では、ラーチャーはジャーマン・シェパード・ドッグやボーダー・コリーと共にメッセンジャー犬としても使用された。
ラーチャーの名前の語源はロマ語Lurで「窃盗」という意味でもある。密猟に使われることによって1940年代にラーチャーを飼っているものは全て無法者で不名誉な者と烙印を押された。
現在でも英国内には数多くのラーチャーが存在しており、狩猟、コーシング、レース、ジプシーと生活を共にして食料を確保する犬等、実用的な面が多い一方で、年をとった場合に迷子や捨て犬となってレスキュー団体で新しい飼い主を探している数は他の犬種より多い。家庭ではたいへんよいペットになるが、実用として飼っている場合、ハンティングに使えなくなり金を得ることができなくなるとラーチャーを捨てたり殺したりする人間もいる。
しかしラーチャーは非常に従順な犬であり、それ故コーシングハウンドやハンターとして使われるが、信頼できる情の深い家族になることは間違いない。ブリードではないが、英国内では歴史のある人気の高い犬でもあり、カレンダーやマグカップなど、他の犬種と肩を並べて多くのグッズも販売されている。
外見は様々なサイズと形に分かれる。上記に挙げられたサイトハウンド以外でも、ベドリントン・テリア、ブル・テリア、コリー、ジャーマン・シェパード・ドッグ、ラブラドール・レトリーバー、ポインター、ゴールデン・レトリーバー等との様々なクロスがあり、毛の長い短いや色なども様々である。
現在、日本国内でも1頭、英国でレスキューされ飼い主と共に来日したラーチャーが暮らしている。