ルシフェラーゼ
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ルシフェラーゼ(luciferase)は発光バクテリアやホタルなどの生物発光において、発光物質が光を放つ化学反応を触媒する作用を持つ酵素の総称である。発光酵素とも呼ばれる。触媒する現象を基に名づけられたもので、系統の離れた発光生物のルシフェラーゼ相互の起源はおおむね異なっている。このとき、ルシフェラーゼによって酸化されて、発光する様々な物質の総称をルシフェリンと呼ぶ。
ルシフェラーゼは酵素であるため、基質特異性を持つ。つまり多くの場合、ある発光生物のルシフェラーゼはその生物のルシフェリンとしか反応をしない。せいぜい系統的に近縁な種類の生物のルシフェリンと反応をすることが出来る程度である。また、生物発光の光の波長(色)は、ルシフェラーゼに左右される。
発光バクテリアにおいて、ルシフェラーゼは自己誘導と呼ばれる特徴的な合成方法をとっている。発光バクテリアは、互いに存在を認識するためにオートインデューサーと呼ばれる伝達物質を産生している。 このオートインデューサーは、バクテリアが増殖している間に、培地に蓄積する。そして、オートインデューサーがある濃度を超えると、バクテリアは菌体数が増えたことを察知し、ルシフェラーゼの誘導が起こる。
このように、ある能力を発揮する際に、密度依存性がある機構をクオラムセンシングと呼び、発光バクテリアだけでなく、様々な細菌に見られる特徴である。