ロス疑惑
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ロス疑惑(ロスぎわく)は、1981年から1982年にかけてアメリカ合衆国・ロサンゼルスで起こった邦人銃殺・傷害事件を指す。
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[編集] 概要
1981年8月31日、輸入雑貨商を営む三浦和義が妻A子とロサンゼルス旅行中、A子が部屋で一人になったとき、日本人女性が上がり込んできて、A子の頭部を鈍器で殴打、軽症を負う。
同年午前11時5分頃(現地時間)、三浦夫妻はロサンゼルス郊外の駐車場で二人組の男に銃撃され、A子は頭を撃たれて意識不明の重態。夫の三浦も足を撃たれた。1982年1月、A子は日本に移送され神奈川県伊勢原にある東海大付属病院に入院した。しかし、意識が戻ることはなく11月30日に死亡した。三浦は、保険会社三社から1億5500万円の保険金を受け取った。
1984年に週刊文春が「疑惑の銃弾」というタイトルで、三浦が保険金目当てに仕組んだ事件ではないかとする内容を連載した。この影響でマスコミは「三浦犯人説」を強調する報道が目立つようになる。
1985年に三浦の愛人B子が1981年8月のA子傷害事件における犯行を産経新聞上で告白する。9月11日、警視庁は三浦をA子殴打事件での殺人未遂容疑で逮捕。同12日はB子も同容疑で逮捕した。この殴打事件では、B子に懲役2年6ヶ月、三浦には懲役6年が確定した。
殴打事件公判中の1988年10月20日、三浦夫妻銃撃事件で三浦と実行犯とされたロサンゼルスで駐車場を経営していた人物C男が殺人容疑で逮捕された。東京地裁はC男には証拠不十分で無罪、三浦には無期懲役の判決が下った。三浦は控訴、高裁では証拠不十分で逆転無罪となる。検察は上告し、2003年3月5日、最高裁で無罪となり、銃撃事件における三浦の無罪が確定した。
[編集] 名誉既存訴訟
三浦はマスコミに報道された名誉毀損報道に対し、弁護士を立てない本人訴訟を起こす。マスコミに対する名誉毀損の訴訟は476件にものぼり、その80%で三浦が勝訴している(15%は時効による却下、5%は三浦の敗訴)。
[編集] 関連書籍
- 『弁護士いらず : 本人訴訟必勝マニュアル』(太田出版)