ヴィーキンガー作戦
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ヴィーキンガー作戦(Unternehmen Wikinger)は第二次世界大戦中のドイツ軍の作戦。その内容は、北海で軍事行動中であると考えられたイギリス船を拿捕または撃沈するというもので駆逐艦6隻が参加し1940年2月22日に発動された。作戦中ドイツ空軍機による誤爆、またはイギリス軍により敷設された機雷で駆逐艦2隻が沈み、作戦は中止された。
2月22日6隻の駆逐艦フリードリヒ・エッコルト、リヒャルト・バイツェン、エーリッヒ・ケルナー、テオドール・リーデル、マックス・シュルツ、レーベレヒト・マースがフリッツ・ベルガー中佐に率いられて出撃した。作戦場所であるドッガーバンクへ向かうため自軍の機雷源中の水路を航行中19時13分に見張り員が航空機の音を聞き、すぐに1機の爆撃機が発見された。その爆撃機は接触を続け、駆逐艦リヒャルト・バイツェン、エーリッヒ・ケルナーが対空射撃を行い爆撃機も駆逐艦に対して銃撃を行った。これによりこの機は敵機だと判断され、友軍機であるとの報告もあったがそれは全く信じられなかった。19時43分最後尾のレーベレヒト・マースが爆撃を受ける。レーベレヒト・マースは命中弾を受けたと信号を発し他の駆逐艦は反転、フリードリヒ・エッコルトが救援のためレーベレヒト・マースに接近した。19時56分レーベレヒト・マース艦上で2度爆発が起こり、レーベレヒト・マースは二つに折れて沈んだ。救助活動が開始されたが20時4分に別のところで再び爆発が起こった。それから潜水艦発見の報告があり、艦隊は混乱した。20時36分作戦中止が命じられた。
レーベレヒト・マースとマックス・シュルツの2隻が沈み、救助活動中の混乱のため2隻の乗員の内救助されたのはレーベレヒト・マースの乗員60名のみであった。
この日ドイツ空軍もイギリス沿岸での通商破壊作戦を実行していた。駆逐艦の沈没がその参加機によるものであると疑われたため調査がおおなわれた。その機、He111爆撃機の乗員は19時45分と19時58分頃の2度爆撃を行い、共に命中弾があったと報告した。調査では1度目の爆撃はレーベレヒト・マースに対して行われ、2度目はマックス・シュルツに対して行われたとされ、2隻ともその爆撃が原因で沈没したと判断された。この同士討ちの原因は爆撃機の乗員が友軍の駆逐艦の存在を知らされていなかったことであるとされた。
なお、2隻の駆逐艦の沈没原因はこの海域にイギリス軍が敷設していた機雷による可能性もある。