一握の砂
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『一握の砂』(いちあくのすな)は、石川啄木の歌集。1910年12月1日、東雲堂書店より初版が刊行された。序文を書いている藪野椋十とは、当時の啄木の勤務先である東京朝日新聞で社会部長を務めていた渋川玄耳のことである。
三行分けによる散文的なスタイルの短歌は、若い世代を中心に多くの追従者を生んだ。特に啄木の郷里の岩手県では、刊行前後から地元紙に啄木の作品が掲載されたこともあり、その影響は大きかった。その一人が旧制盛岡中等学校の後輩で当時在学中だった宮沢賢治で、本作の刊行と同時期に短歌創作を始めており、啄木の影響と推察されている。