上手
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上手
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[編集] 上手(かみて)
上手(かみて)は舞台用語。客席から向かって舞台の右側をいう。逆に、左側は下手(しもて)と呼ばれる(英語では逆に舞台から見ていうので「上手」は"stage left"、「下手」は"stage right"となるのに注意)。一般に、舞台中での偉いもの、重要なものは上手に位置する。同じ事は洋の東西を問わず成立するようだが、起原は定かでない。一説には、人間の体の心理的中心が心臓を通るやや左寄りの線であるために、強いもの、圧迫感のあるものを無意識に右側へと遠ざけようとする作用から来ているともいわれる。
また、目上の人や自分にとって上位にあたる人が座る上座の方向を表す。日本で用いられる場合、家の入口である玄関から遠く、床の間に最も近い席を指す場合が多い。主に、父親などが座るとされる。
川や河川の流れてくる方向(上流、川上)や風の吹いてくる方向(風上)を表すときにも用いられる。この用例では「上手(うわて)」とも。
このように「手」という言葉を用いる場合、「手」には「方向」を示すニュアンスがこめられる。また、「上」には「重要なもの」や「物事の流れてくる方向」の意味がある。
[編集] 上手(うわて)
上手(うわて)は、ある物や人が、能力や思考の点で別の物や人よりも優れていること、あるいはある人よりも立場が上の場合のことを指す。「君は僕より一枚上手だ」など。
相撲で上手(うわて)とは、互いに同じ側の廻しを取り合った状態で、相手の腕の外側から相手の廻しを引いた状態のこと。また、その相手の廻しにやった手のことをいう。上手を取って投げるのを上手投げなどと言う風にも使われる。一般には効き手で上手を取った方が有利とされているので、これを嫌って「上手を切る」ことがある。
[編集] 上手(じょうず)
上手(じょうず)とは、技術や動作に優れていたり習熟していること、あるいはそのような人のことを表し、しばしば褒め言葉として用いられる。また、「人を喜ばせてうまく(都合のいいように)物事を運ぶ」ような意味あいから転じて、お世辞など口先だけのことばを言って相手を喜ばせることも、上手(じょうず)という。このような用い方の場合、「お上手」(おじょうず)と言うことが多い。
囲碁において上手(じょうず)は優れた打ち手のことを指す。江戸時代の段級位制においては7段を表した。
またある分野において特に優れた名人でも失敗やつまずくことはあるという意味で、「上手の手から水が漏れる」という諺も存在する。
このように「手」という言葉を用いる場合、「手」には「技量」・「腕前」を示すニュアンスがこめられる。また、「上」には「(能力が)高い」「うまい」のような意味がある。
[編集] エピソード
- 村田英雄と三波春夫が舞台で競演した際、台本に「上手(かみて)から三波、下手(しもて)から村田登場」と書いてあるのを見て、村田が「何で三波が上手(じょうず)で俺が下手(へた)なんだ!」と激怒したという。
[編集] 関連項目
- 下手
(うわて)