事業譲渡
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事業譲渡(じぎょうじょうと)とは、会社の特定の事業に関する組織的な財産を他の会社に譲渡することである。単なる物質的な財産(商品、工場など)だけではなく、のれん(ブランド)や取引先などを含む、ある事業に必要な有形的・無形的な財産すべての譲渡を指す。
旧商法においては、商人一般についてだけでなく会社についても「営業譲渡」という用語を使用していた。しかし、商人が個人で営業する場合、営業ごとに複数の商号を使い分けることができ、営業の譲渡には商号の譲渡が伴うことがある(商法15条1項)。しかし、会社については、商号は「○○株式会社」といったいわゆる社名ひとつであり、特定の事業を譲渡しても商号の移転は伴わない。そのため、会社法では商人一般については「営業譲渡」とは区別して、会社については「事業譲渡」という用語を使用している。
[編集] 事業譲渡の手続
- 事業譲渡会社において、事業の全部の譲渡や重要な一部の譲渡をするには、株主総会の特別決議が必要である(会社法467条1項1号・2号、309条2項11号)。
- 事業譲受会社において、事業の全部の譲受をするには、株主総会の特別決議が必要である(会社法467条1項3号、309条2項11号)。
- なお、会社の規模に比べて小規模な事業譲渡は、株主総会決議を省略できる(簡易事業譲渡、会社法468条)
- 株主総会決議の後、反対株主の株式買取請求権の行使が認められる(会社法469条)
[編集] 営業譲渡
一般の商人の場合、会社法の事業譲渡に当たるものに営業譲渡がある。
営業譲渡の場合、営業譲渡人に競業禁止義務が生じる(商法16条)。また、営業譲渡の際には商号の譲渡ができ、商号続用に伴う責任が生じる(商法17条・18条)。