人民の人民による人民のための政治
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人民の人民による人民のための政治(じんみんのじんみんによるじんみんのためのせいじ 、government of the people, by the people, for the people)は、エイブラハム・リンカーンが1863年11月19日、南北戦争の激戦地となったゲティスバーグで戦没者を祀った国立墓地の開所式での、272語、3分足らずの短い挨拶(ゲティスバーグ演説)の中のことば。民主主義の本質を語ったものとして世界的に知られる。
[編集] 由来
この言葉はリンカーンのオリジナルではない。今知られている一番古いものはジョン・ウィクリフ(1320年頃 - 1384年)の翻訳した聖書の序言に原文は「This Bible is for the government of the people, by the people, and for the people」(「この聖書は人民の、人民による、人民のための統治に資するものである」)とあるのに始まる。その言葉を引用したウェブスター(1782年 - 1852年、雄弁家、政治家)、さらにそれを引用したパーカー(1810年 - 1860年、牧師、雄弁家、黒人解放運動家)と順次引用され、リンカーンの引用に至る。ちなみに、この場合の「of」は、日本国内では「所有・所属」や「目的格関係」など様々な解釈が議論されているが、世界的には「起源」を意味するのが一般的である。中国語では「民有、民治、民享的政府」と訳されている。また、日本国憲法でもその前文に「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」とリンカーンの同部分を解釈的に引用している。