仮運転免許
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仮運転免許(かりうんてんめんきょ)は、日本の運転免許のひとつで、自動車運転免許を取得しようとする人が、路上で運転の練習をするために必要な運転免許。略して、仮免許・仮免(かりめん)ということが多い。
仮運転免許保持者は、公道における路上練習が可能になる。公道上で自動車教習所の卒業検定や技能試験が実施される場合、もしくは各都道府県運転免許試験場で本免許技能試験を受験する際、仮免許がなければ受験することが出来ないので、免許を取るためには必然的に仮免許発行を経ることになる。
仮免許保持者の路上練習について、概要で説明する。また、指定自動車教習所・自動車教習所において指導員の下行われる、いわゆる「高速教習」「高速教程」についても後述する。
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[編集] 概要
仮免許には、普通仮運転免許と大型仮運転免許がある。それぞれ、発行後6ヶ月有効であり、路上における運転練習のため、仮免許を所持して、指定(公認)自動車教習所の指導員(ただし技能教習に従事する場合に限る)、もしくは以下に箇条書きする基準に該当する運転免許保持者を指導者として助手席に同乗させ、「仮免許練習中」標識を所定の位置に装着した自動車で、内閣府令(平成一八年二月二〇日内閣府令第四号、「道路交通法施行規則」の定める道路(高速道路・自動車専用道路・混雑している道路を除く道路)において、路上練習することができる。
同乗指導者の資格は、
- 練習する自動車を運転可能な第一種免許保持者で、運転経験が通算3年以上(発行後3年経過していても、途中に免許停止期間がある場合はその期間は除外)
- 練習する自動車を運転可能な第二種免許保持者
のいずれかである。ただし、上の条件を満たしていても、免許停止処分中は同乗指導者となることができない。
「仮免許練習中」標識の様式は道路交通法施行規則 別記様式第十一に定められており、
- 寸法が縦 17cm X 横 30 cm
- 白地に黒で「仮免許」行を改め「練習中」と表記し、一行目の文字の大きさは縦横 4cm・線の太さは 0.5cm, 二行目の文字の大きさは縦 8cm X 横 7cm・線の太さは0.8cm
- 練習車両の前後の見やすい位置に装着する(地上 0.4m~1.2m 以内)。
- 耐久性のある素材を用いること
となっている。ただし実際は厳密にこの様式に従って制作しなければならないことはなく、厚紙などにマジックなどで太く明瞭に記したものを車両前後の見やすい位置に粘着テープで貼り付ければよいとされる。ちなみにこの規格に沿った「仮免許練習中」標識は、各都道府県の運転免許試験場の売店などで前後一組500円程度で販売されている。
卒業検定の場合、「仮免許練習中」標識は裏返しになり、代わりに屋根に「運転技能検定中」の標識が出される。
運転免許試験場では、受験資格を満たしていれば第一種大型自動車免許の技能試験を直接受験することができ、合格した場合そのまま本免許を取得できることから、大型仮運転免許は不要である。大型仮運転免許の試験自体は、第二種大型自動車免許試験との兼ね合いから存在するものであり、受験して仮免許を取得することもできる。しかし中型自動車免許が導入された後は、中型・(新)大型自動車免許共に必ず仮運転免許取得が必要となる。これは現在試験場内(教習所内)だけを走行する技能試験(卒業検定)で行われているものが、場外の路上に出て走行する技能試験(卒業検定)に切り替わるためである。
ちなみに仮免許証の表に発行権者が記載されているが、公安委員会管轄の運転免許試験場等で申請した場合は各都道府県公安委員会の名義で発行され、警察署で申請した場合は警視総監及び各道府県警察本部長名義となる。
また、路上練習中に事故や交通違反があった場合、本免許の発行が不認可ないし保留となる場合がある。
[編集] 受験
年齢などの一定の制限をクリアしていれば、各都道府県の公安委員会が管轄する運転免許試験場で視力などの適性検査、学科試験と技能試験を受験し、合格すれば取得することができる。必ずしも指定自動車教習所に入校しないと取得できないわけではなく、運転免許試験場の一連の試験に合格できれば、一切教習を受けなくても仮運転免許は取得可能である。ただし、指定自動車教習所では日々慣れ親しんだ教習コースで試験が行われるのに対し、運転免許試験場では練習走行の機会がなく不慣れなコースで技能試験を受けることになるので、教習所修了者と直接受験者との合格率の差は非常に大きい。
このため、一般的には指定自動車教習所で、運転免許を取得する過程で一定時間以上の技能教習と学科教習を受けたのち、指定自動車教習所内で仮免許試験を受験することになる。法的には、本来公安委員会が管轄する運転免許試験場で行う適正試験・学科試験を指定自動車教習所に実施を委託し、技能試験については指定自動車教習所内の修了検定に合格することで技能試験を免除する扱いとしている。
[編集] 仮免許保持者が路上練習可能な道路について
原則として仮免許保持者が運転可能な道路は、道路交通法施行規則の以下に引用する条文に定められており、
- 道路交通法施行規則
- 第二十一条の二 (※道路交通)法第九十六条の二 の内閣府令で定める運転の練習は、高速自動車国道及び自動車専用道路以外の道路(交通の著しい混雑その他の理由により運転の練習を行うことが適当でないと認められる場合における当該道路を除く。)において、次の表の上欄に掲げる練習項目に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる練習細目について、普通免許又は普通第二種免許を受けようとする者にあつては普通自動車、大型第二種免許を受けようとする者にあつては乗車定員三十人以上のバス型の大型自動車により行う練習とする。
となっている。よって高速自動車国道・自動車専用道路・混雑道路における路上練習はできないことになるが、自動車教習所ではいわゆる「高速教程」が存在し、指導員の同乗の下で高速道路・自動車専用道路における仮免許保持者の路上練習が行われている。これは公安委員会規則「届出自動車教習所が行う教習の課程の指定に関する規則」により路上練習可能道路に関する規則が除外されるため、教習課程として別途認可されたものである。
一方、指定自動車教習所以外における仮免許保持者の路上練習については、上記道路交通法施行規則第二十一条の二の定めるとおり、高速道路・自動車専用道路における路上練習はできないが、交通警察の運用にあっては、過去に本免許を取得しており、高速道路・自動車専用道路を通行した経験がある者が、運転免許の取消処分・失効・申請取消などにの後に再び運転免許を取得するため、仮免許で練習しようとする場合は、これらの道路での路上練習が黙認される運用がなされている(各都道府県警察・高速警察隊により取り扱いが異なる場合があるため、停車命令や職務質問を受ける可能性がある場合がある点に注意)。当然この場合も、有資格同乗者と「仮免許練習中」標識の装着が必須である。