傍論
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傍論(ぼうろん、羅:Obiter dictum、オビタ・ディクタム)は、判決において表された裁判官の意見のうちで、判決理由(羅:ratio decidendi、レイシオ・デシデンダイ)には入らない部分。判例としての法的な拘束力は持たないが、裁判所の判断についてある程度の予見可能性がもたらされるので、既存の法的疑義の解消や同種の紛争の蒸し返しを防ぐ事実上の効果もある。裁判が長期に及んだため原告が死亡し訴訟が終了した朝日訴訟事件の傍論が有名である。主文では請求を退ける一方で、傍論においては敗訴した側に一定の理解を示すような判決は、暫し物議の種になる。
[編集] 参考文献
- 井上薫『司法のしゃべりすぎ』(新潮社、2005年2月)ISBN 4106101033
- 中野次雄編『判例の読み方(改訂版)』(有斐閣、2002年4月)ISBN 4641027730